
【金属を溶かしたテクスチャ】岩肌模様の真鍮リング
今回は岩肌のような模様を真鍮に施して、それを指輪にしてみます。
今回最も重要なのは、金属がどのタイミングで溶け始めるのかを把握できる事にあります。
どの角度でどれくらいの時間バーナーを当てると溶けるのかを理解できれば、ロウ付けの失敗も少なくなります。
指輪作りが初めての方は、下の記事をご覧ください。
岩肌模様の真鍮リング 完成イメージ



岩肌模様の真鍮リング 必要な道具・材料

必要な道具
指輪を作るための基本的な彫金道具一式と、マスク・保護メガネを用意します。
真鍮を溶かしすぎたときに発するガスを防ぐために、念のため防護をしておいた方が良いでしょう。マスクは3MのDS-2シリーズが良いでしょう。
使い捨てタイプで通常は一枚90円くらいだったと思いますが、2020年以降は価格が高騰しています。
保護メガネはポリカーボネート製のものがおすすめです。300円くらいで買えたと思いますが、ゴーグル型(水泳ゴーグルみたく後ろにゴムをかけるタイプ)よりも普通の眼鏡タイプ(耳にかけるタイプ)が良いでしょう。
リューターで真鍮ブラシを使ったり、本格的に研磨したりボール盤を使う際には必須ですので、万が一に備えておきましょう。
耐火ブロックに加え、ハニカムセラミックブロックもあると熱効率がよくなり作業難易度が下がります。
このハニカムブロックは、精密なロウ付けの際には必須と言っても過言ではないくらい重要なので、どこかのタイミングで揃えておくと良いかと思います。
無数に穴が開いている耐熱板で、バーナーの熱を効果的に籠らせて、耐熱ブロックから伝わる温度を遮断する役割があり、ロウ材の溶ける理想の温度を安定させます。
使用材料
材料は板材でも線材でも構いませんが、板材の場合は厚いものの方が良いでしょう。
今回は直径2.5mmと2mm線材を使っています。
岩肌模様のの真鍮リング 作り方手順
材料を切り出す

今回は先ほどの2mm線材を適当な長さにカットします。
溶かした後に多少の調整が必要になりますので、この時点は長めに切っておいてください。
必要な長さプラス10mmくらい長めに切っておけば良いでしょう。
作りたい長さを求める式は下記の通りです。
(作りたいサイズのリング内径+板厚)×円周率=必要な材料の長さ
リング内径はこちらを参照してください。
参考:【自作リング】必要材料の計算方法・ワックスの比重計算方法
溶け出すまでバーナーで加熱する

バーナーで熱していきます。焼き鈍しのときよりもさらに熱し続けると、表面が溶けてキラキラ光ってきます。(真鍮の場合は表面温度が800℃程度)
そのままさらに熱していると、しわしわになってきますのでそこで火を外して、次の箇所へ移ります。
それ以上火を当てると完全に溶解してしまい、結晶化したスカスカな地金になってしまいます。
真鍮は溶けきるとヒューム(金属が溶ける時に発するガス)が発生し、これは体によくありませんので換気をしてください。
マスクと保護メガネを着用しています。
作業が完了したら、ピックリングコンパウンドにつけて酸洗いを行います。
材料を切り出して丸める

溶けて丸線材が平らっぽくなりました。
この時点できっちりと必要なサイズを切り出します。

切り出したら、丸めてロウ付けに備えます。これ以降は2mmの太さの真鍮棒を使ったリングの工程と変わりません。
合わせ面に糸鋸の刃を通して、合わせ面をぴったりにします。
ロウ付けをする
3分ロウでロウ付けします。ロウ材と母材が溶けだすまでの時間差がつかめたのではないでしょうか。
ロウ付けが終わったら再び酸洗いを行います。
仕上げをする

あまり磨きすぎると凹凸が全部消えて、ただのぼこぼこの輪っかになってしまいますので、ウエス(布切れ)に研磨剤をつけて、乾布摩擦みたいにスリスリするくらいで良いかと思います。
岩肌の真鍮リング まとめ

岩肌のような自然なテクスチャを付けられました。板をこのように溶かして、そこから加工すれば面白いパーツとしても役立ちそうです。
最後までご覧いただきありがとうございました。