この記事ではプリンセスカットの石枠の作り方、留め方を解説していきます。
プリンセスカットなどの角があるカットのルースは普通の爪留めと作り方も留め方も少し違ってきますので、そちらも合わせて解説します。
使用する道具と材料
使用する道具
彫金の道具一式と、石留めに使う道具一式が必要です。リングを作るための道具である芯がね棒などは必要ありませんが、持っていると石枠を指輪にすることが出来るようになります。
使用する材料
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『線引板』を持っていると、さまざまな径の丸線を自宅で作れるようになります。
プリンセスカットの石枠の作り方 手順
石の形をトレース
石の輪郭を方眼紙にトレースします。石の一辺の長さもノギスで計測しておきます。
地金に印を入れる
まず最初に、切れ端を45°に削っておきます。
トレースした線の内側に合わせて印を入れていきます。
印に合わせて紙コンパスなどで線を入れます。
精密ヤスリで折り目を削る
精密ヤスリ(四角)で折り目を削ります。ここを折り曲げることでプリンセスカットに合う四角い枠を作っていく流れです。
こんな感じになりました。
折り曲げてロウ付けする
先ほど精密ヤスリで削ったところを折り曲げていきます。
そのまま3分ロウでロウ付けします。ロウ付け後は酸洗いをしておいてください。
石枠に座りをつける
ルースがしっかり安定して座るように、石枠を斜めに削ります。
精密ヤスリ(刀刃)などを使って、角から削っていきます。
他の部分も削って斜めにします。時々ルースをセットしてみて、しっかり座るかどうか確認しながら行います。
下段も作る
今回は石枠が二段になっていて、真ん中にスリットが入っているタイプを作ります。(この構造を『二段腰』と呼びます。)
1段だけのタイプにしたい場合は、上段のパーツをもう少し幅の広い材料で作ればOKです。
二段腰のメリットは、光彩を多く取れること、地金の存在感が薄くなり繊細に見えることなどがあります。
下段も同じ要領で作ります。
石枠の成形
石枠は下に向かって窄まっている方が繊細に見えるのでヤスリで削っておきます。
ちょっと斜めにしておきました。
爪を立てる
精密ヤスリで四つ角に刻みを入れます。ここに爪をはめ込んでロウ付けしていきます。
丸線材をU字に曲げて挟み込むようにしてセットします。
このままそっとロウ付けします。5分ロウを使います。
上段にも刻みをつけてロウ付けに備えます。削りすぎると緩くなって下段と合わなくなるので気をつけながら行います。
上からはめ込んで様子を見ます。大丈夫そうだったら7分ロウでロウ付けします。酸洗いもしておきます。
裏面を平らに削っておきます。ヤスリの後は耐水ペーパーできれいにしておきましょう。
これで石枠は完成です。ピカピカに仕上げたい場合は、石留め前に隅々まで磨いておきます。石留めをしてしまうと石が邪魔で道具が入らなくなってしまったり、石を傷つけてしまう原因になります。
プリンセスカットの石留め やり方
プリンセスカットなどの角のある石は、角を包み込む『袋状』になっている構造の爪で留める必要があります。
通常の円柱のような爪では石が滑ってしまって留まりません。
この、角を包み込む仕組みの爪を『袋爪』と言います。今回は普通の丸線で作った爪を袋爪に加工していきます。
固定材に取り付ける
石留めをしやすいように固定材に取り付けておきます。この道具は調理器具のすりこぎ棒に固定材を練りつけたものです。作り方はこちらの記事で紹介しています。
バーナーで軽く炙って温めて石枠をセットします。
爪位置に印を入れる
ルースをセットしてみて、石の角が爪と当たる位置に印をつけます。ルースをセッティングしたままカッターなどで印を入れておきます。
本来ではメスを使いますが、このような普通のカッターやデザインナイフなどでもOKです。小さくて細い爪などはカッターでは厳しいので、メスがおすすめです。
替え刃のタイプはNo.11型がおすすめです。当たり前ですが、メスはとんでもなく切れ味がいいので取り扱いには本当に気をつけてください。
印の位置に溝を入れる
ブッシュスチールバーNo.414型 1.2mmを使用して、カッターで入れた切れ目の位置に溝を入れます。
この溝にプリンセスカットの角をホールドして留めていきます。
こんな感じになりました。
石をセットして爪を倒す
石をセットしてみて、しっかりと先ほどの溝にはまっているかを確認します。
石が斜めに座っていないことを確認したらピンセットの柄や爪倒しなどで爪を対角順に倒していきます。
一気に倒し切るのではなく、順番に少しずつ倒していきます。
ニッパーでカットする
余分な爪をニッパーでカットします。ルースのテーブル面の高さに合わせてカットします。
爪の成形
お好みの形にヤスリで削っていきます。今回は丸い爪にしようと思います。
精密ヤスリ(刀刃型)で細かいところも削ります。ルースにヤスリが当たると傷ついてしまうので、ルースになるべく当てないように気をつけます。
また、ヤスリの峰をピカピカに磨いておくとルースに当たっても傷が付きづらくなります。
ロールサンダーなどで爪の太さを調整しておきます。ルースには当てないようにしましょう。
しっかり留められていない時は…
石がカタカタ動いてしまっている場合は、彫刻台や万力などにセットしてナナコタガネで叩いて留めます。
彫刻台の方が作業がしやすいですが、とりあえずやってみたいだけでしたら、ボール盤バイスがおすすめです。(フクリン留めもできるようになります。)
おたふく鎚を使ってナナコタガネを叩いて爪を倒していきます。ルースが完全に留まると響くような手応えが伝わってきますので、そうなったら完了です。
ルーペなどで見てみて、爪が浮いてない(石と爪の間に隙間ができていない)状態になっていればOKです。
留まっているのに叩き続けると石が割れるので注意します。
完成
磨いたら完成です。これを元に指輪やネックレスにすることもできます。市販の空枠に角のあるルースを留める時にも、『袋爪』にすることでしっかり留めることができます。
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