このページでは、ペアシェイプカットの石枠の作り方を解説します。
お手持ちのルースに合わせて、サイズのぴったりの石枠を作れるようになれば、リフォームアクセサリーが作れるようになりますね!
使用する道具と材料
使用する道具
彫金の道具一式と、石留めに使う道具一式が必要です。リングを作るための道具である芯がね棒などは必要ありませんが、持っていると石枠を指輪にすることが出来るようになります。
使用する材料
丸線は色々なサイズを持っておいて、石のサイズによって微妙に変えると質感にグッと深みが出ます。
丸線を全て揃えるのも大変なので、線引き板があると便利だと思います。
欲しいサイズの丸線材を作る事ができます。
ペアシェイプカットの石枠の作り方
ペアシェイプに合わせて石の形をトレースする
方眼紙の上に石を置いて、画像のように形をトレースします。
面倒な方は石をスキャナーで読み込んでコピーしてもOKです。
爪の位置に印をつけておきます。
トレースした線に合わせて地金を巻く
焼き鈍しをした地金を丸ヤットコなどで巻いていきます、切れ目はしずく形の先端に来るようにします。
線の内側を狙って巻いていくと、石が枠からはみ出ずに綺麗に留まります。
形が決まったら余計な部分は1mm程度残して切っておきます。
糸鋸を使って、ペアシェイプの先端に切れ目がちょうど来るように画像の角度でカットします。
ここを切れ目にする事で、ロウ付けした部分(ロウ目と言います)を隠すことができます。
この際に隙間が多少あっても、あとで調整しますのでOKです。
糸鋸(#0の鋸刃使用)で、切れ目に沿って切ってきます。
あとは鋸刃の幅分空いた隙間を、ぎゅっと閉じます。
こうする事で精密に切れ目をピッタリにすることができます。
石と並べるとこんな感じです。
石枠(上段)のロウ付けをする
3分ロウなどの溶けにくいロウで、切れ目をロウ付けします。バーナーを置いた状態で、ピンセットで持って空中で行う『差しロウ』方法でやりました。
慣れるとこちらの方が素早くロウ付けができます。
ヤスリで整える
平らな部分は耐水ペーパーで平らにして、側面はヤスリで整えます。側面は少し絞りをつけて、テーパー気味にしました。
内側も手の入る部分は綺麗にしておきました。
磨く場合は、綿棒を折ってリューターに装着して、研磨剤をつけて磨くのがおすすめです。
ペアシェイプルースの受け皿を作る
石がしっかりと石枠に座るように、受け皿部分を作ります。
完全に角にしてしまうと磨いたりしているうちにガジガジになってしまうので、ある程度縁を残しておきます。
ケガキはなくてもいいのですが、縁が見やすくなるので今回は説明用につけました。
斜めに削れれば何でも構いませんが、今回はキサゲなども出動してやってみました。
ペアシェイプの先端はあらかじめ精密ヤスリ(刀刃型)で刻みを入れておいて、その刻みを馴染ませるように斜め部分を削っていくと先端までシャープに削ることができます。
上面の平部分を微かに残しておきます。
ここを残しておかないと、磨いたときに角がカミソリのように薄く尖ってしまいます。
下の段を作る
1.2φ銀線を先ほどと同じようにペアシェイプ型にします。
横から見た時の仕上がりがスタイリッシュになるように、上段の枠よりわずかに小さくしました。
あまり下段を小さくしすぎると横から見た時の爪の流れに違和感が出てきますので注意します。
デザインによって変わってきます(好み)ので決まりはありません。
上段と同じようにロウ付けをします。ロウ材は融点の高いものを使います。(3分ロウを使用)
底面を耐水ペーパーで平らに削りました。
石枠に爪を立てる
石枠下段の爪をつける部分に精密ヤスリなどで刻みをつけて、爪がフィットするようにします。(ペアシェイプの先端の尖っている部分は刻みを入れません)
5分ロウで慎重にロウ付けをしていきます。爪は長めの棒材をロウ付けして、後で余分なところをカットして整えます。
なかなかロウが溶けなかったら無理せずに、一回ピックリングコンパウンドや希硫酸などで酸洗いをして仕切り直すと良いです。
袋爪を作る
ペアシェイプ、プリンセス、マーキスなど角のある石は、袋爪と呼ばれる構造の爪を作るのがセオリーです。
角を包み込むように内側にくぼみを作ったり、L字型の爪にしたりと角を完全にホールドすることで石を留める仕組みです。
石の角は欠けやすいので保護する目的もありますが、そもそも袋爪でないとしっかりと留めることができません。(角が滑ってしまいカタカタと動いて外れてしまいます)今回はL字の爪を作ります。
3mm幅の細長い板(厚みは0.8mm)の中央に線をけがいて、『三角型』や『四角型』の精密ヤスリで折り目を作ります。
皮一枚のところまで削ったらヤットコなどで折り曲げるとL字型の素材を作ることができます。
スタイリッシュに見せるために先細りに削っておきます。
上段の枠にも刻みを入れておきます。
下段パーツと上段パーツのロウ付け
先端の爪を合わせてロウ付け
製作した袋爪を合わせていきます。下の方を削ってピッタリ合うように調整しておきましょう。
最後に7分ロウでロウ付けしておきます。
石留め前に磨く
ピカピカにしたい場合はこの段階で磨いておきます。とりあえず石枠は完成です。
ペアシェイプカットの石留め やり方
石留めをしやすいように固定材に取り付けておきます。この道具は調理器具のすりこぎ棒に固定材を練りつけたものです。作り方はこちらの記事で紹介しています。
バーナーで軽く炙って温めて石枠をセットします。
精密ヤスリで刻みを入れる
ルースをセットしてみて、石が爪とぶつかる部分に精密ヤスリで刻みを入れます。
爪を倒す
爪倒しやピンセットの柄などで爪を倒していきます。刻みを入れたところから曲がっていきます。
一本ずつ一気に倒し切るのではなく、対角順に徐々に倒していきます。袋爪の部分もルース側に押して軽く曲げておきます。
余分な爪をカット
長い爪をカットします。今回は露形の爪にするので、ルースのテーブル面の高さより気持ち長めにカットしています。
ヤスリで尖らせる
精密ヤスリで爪の左右を削って尖らせていきます。まだ爪は倒れ切っていないので浮いている状態です。
倒し切る前にヤスリで削ることで、ルースに道具を当てないように作業できます。
使用する精密ヤスリは『刀刃型』ですが、万が一ルースにあたっても傷がつかないようにヤスリの峰をピカピカに磨いてあります。
(ダイヤモンドヤスリ・耐水ペーパー・研磨剤で磨きます。)
爪を薄くする
左右を削ったら次は爪の上面を削ります。爪が薄くなることで、倒し込みやすくなります。
爪の形も整えてきれいな露形(しずく形)にしておきます。
袋爪も削る
袋爪も長いので削り込んでおきます。*すみません…これ以降の画像データが消えてしまったので違う作品の同じ作業の写真や再現で解説します。
爪を倒す
ピンセットの柄などで、浮いた爪をぴったりルースに合わせていきます。爪を薄く削っているので、倒しやすくなっています。なかなか曲がらない場合は再度爪の厚みを削って薄くします。
完成
固定材から外してアセトンなどの薬品でこびりついた固定材を溶かします。
最後にマンドレールに丸く切った牛乳パックを取り付けて、#4000研磨剤を使って爪の頭を磨いて、全体をバフなどで研磨したら完成です。
研磨剤をルースに当てると削れたり、カットがだれてしまいますので注意して作業します。
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