彫金は基本的にはそれ専用の「彫金机」で作業するのがセオリーです。
市販されている一番安いのでも10万円程度だったと思いますが、重くてゴツいので家に置くとなると大変ではないでしょうか。
自宅で彫金をこじんまり楽しみたい勢には少しハードルが高いです。
そこで今回は予算5000円で、あなたの家の机を彫金仕様にできるアイデアを紹介します。(もちろん使わないときは仕舞っておける仕組みです)
普通の机と彫金机の違いを考える
まずは彫金机と、普通の机がどう違うかを理解しておきましょう。
この違いをクリアできればどんな机だろうと彫金に使えるということになります。
①天板の高さが違う

彫金机は上のような形をしています。天板の高さは概ね85~90cm程度で通常の机(65~70cm)に比べて20cm程度高くなっています。
理由はシンプルで、細かい作業をすると自然と手元と眼が近くなります。
天板が低いと…

ということで天板が高くなっています。
②削りかすを受ける機能がある
金属を削ると、削りカスが下に落ちます。これらを床に落とさないように、ステンレスの内張りになっている引き出しが彫金机には備わっています。
海外では、布や革がタープのように張られていて、そこに削りカスが落ちる仕組みのものもあります。

お値段£224。良いんだけど送料が…
金銀プラチナなどの貴金属を削ることを想定しているので、削りカスもちゃんと集められるようにしているわけですね。
貴金属を扱う予定がなくても、床が汚れるのは不便なのでこの機能はあったほうがいいです。
③ある程度の頑丈さ
金属を削ったり、切ったりする作業に耐えられる堅牢性が必要です。
彫金机は30kg以上重量があり、天板も分厚くて硬いです。

ただ、これはプロの本格的な作業にも耐えうる設計であり、趣味ではオーバースペックだと思います。(基本的な作業に耐えられる頑丈さが担保できればOK。)
まとめると以下が彫金の作業に必要な条件です。
・天板の高さが85~90cm
・削りかすが床に落ちないように受ける機能がある。
・それなりに強度がある
以上を踏まえて、普通の机を彫金仕様にする方法を考えてみました。
普通の机を彫金仕様にカスタマイズ


というわけでこんな感じになりました。20cmのラックをクランプで固定して、削りカスを受ける布を張っています。
ベースの机はIKEAの一番安い机です。
没入感があってなかなか良い出来です。実際に使ってみましたが、問題なく作業できました。
簡易彫金机の作り方・材料
材料は①ラック、②木の棒(10φ)、③ヒートン(no.8)、④綿布(パン作りに使う布です)、⑤クランプ、⑥洗濯バサミ、⑥ゴムパッド、⑦フェルトシールです。
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※クランプは2個買っておいてください。
洗濯バサミはなんでもOKです。オシャレ優先でステンレスにしています。100円ショップで買った方が安いと思います。
※木の棒はAmazonだと送料が高かったりするので、ホームセンターなどで買ったほうが割安です。運が良いとDAISOにも売っています。
直径10mm、40cm長が2本あればOKです。
写真に撮り忘れましたが傷防止や振動防止にゴムパッド・フェルトシールを使っています。これもAmazonよりホームセンターや100均などの実店舗の方が安いです。
簡易彫金机の作り方の手順

それでは早速作っていきます。

滑り止めゴムパッドを裏に貼る
滑り止め、傷防止のためにゴムパッドシールを、ラックの裏側四箇所に貼っておきます。

ヒートンを取り付ける


正面側と、10cm開けたところにヒートンを取り付けます。
取り付けにあたってはヒートンを無理やりねじ込むよりも、錐などで下穴を開けた方がいいと思います。錐は100円ショップで購入しました。




机に置いた時にヒートンが地面に接さないようにしましょう。

こういう感じで木の棒がセットされます。ヒートンがきつくて入らない時はペンチなどで少し広げると良いです。(100円ショップのラジオペンチなどでOKです)
加工作業はこれで完了です。

布とクランプを取り付ける
布を張ります。ラックと机で少し布を挟んだら、端をクランプで固定します。
机に引き出しがある場合は、引き出しを少し開けてクランプを差し込む形にすると良いです。

差し込んだ棒に布を巻きつけていきます。洗濯バサミで固定します。


手前に垂れた布を受け皿状に張れば完成です。削った粉はここでキャッチできます。

スリ板や道具のセット
彫金はスリ板と呼ばれる木の板の上で作業します。着脱式のスリ板を中央に取り付けておきましょう。

ヤスリなどを入れるケースは、DAISOのカトラリーボックスを愛用しています。木製で雰囲気も◎です。

任意ですがルーペスタンドも設置してみました。
細かい作業も見やすいです。ルーペスタンドは必ずレンズに蓋がついているものを選ぶか、カバーを取り付けて保管しましょう。
(レンズと太陽光で起きる火事を「収れん火災」って呼ぶらしいです。水の入ったペットボトルや透明な吸盤、ピカピカステンレス調理器具なども原因になりうるんだとか。お互い気をつけましょう。)


フェルトで振動対策をする
ヤスリがけなどで机が揺れて壁に当たるといけないので、フェルトシールを貼っておきます。

簡易彫金机の完成
ということで完成です。このラックは2000円以下でありながら十分な剛性があります。
完全な箱型にしてしまって、道具箱兼作業机みたいなスタイルもいいかもしれません。
ウォールナットやマホガニーなどの高級木材を使ってDIYで作るのもいいかもしれませんね。妄想が捗ります。
簡易彫金机 まとめ
今回のは一例に過ぎません。完璧に整った環境じゃなくても、充分に彫金を楽しめることを是非知っていただきたいのです。
IKEAの机を改造して彫金机にしたり、コンパクトな作業机をDIYしたり、世界中でたくさんの人が自分なりの”工房”を持っています。
(Pintarestで「Metalsmith work bench idea」などと検索すると色々出てきます。)
あなたの部屋の一角にもそんなスペースを作ってみませんか?
付録:海外のオシャレ彫金机アイデア
最後にピンタレストで見つけた海外のイケてる事例を紹介しておきます。
IKEAのデスクそのまんまにスリ板をつけていますね。MITTBACK ミットバックという商品に見えます。使わないときは普通の机にもできるのが便利です。
MITTBACKは脚の高さを調整できるのが彫金向きです。
壁掛けの工具も”魅せる収納”になっていますね。しかし…よく見るとプラスチックハンマーが3個もあったりと、同じ機能を持つ道具がいくつかダブっています。ついつい壁全体を工具で埋めたくなっちゃうのでしょうね。
こちらもIKEAです。ALEXが使われています。
ALEXシリーズはなぜかとても重量があって頑丈なので、彫金机の土台にしている人をちらほら見かけます。
ただ天板の高さが低いので、そこは工夫が必要です。
この人はスリ板を木のブロックの上にのせて高さ調整をしていますね。
IKEAのCAPITA カピタという商品は1000円という安価ながら、8cm嵩増しできます。(それでもちょっとまだ低いけど)
今回紹介したラックを天板の下に噛ませると丁度いいと思います。ハンドモーターという道具の収納場所にもなります。
天板だけのシンプルスタイル。DIYに見えます。ワイルドですが必要十分に見えます。
ミニマルで圧倒的な清潔感。IKEAでも似たようなスタイルが実現できそうです。
芯金というバングルや指輪を作る道具が美しく飾られています。右側の小引き出しも、チェーンや石材を保管しておくのに便利そうですね。私は性格的にこういう細かい引き出しの管理は無理ですが憧れます。
DIYの彫金机。座っているだけで楽しくなれそうです。左の引き出しがかわいいですね。無印良品で同じようなのが売ってたような…
PCデスクの隣に、コンパクトな彫金机。上には本棚。まるで当たり前のように彫金机が部屋に馴染んでいます。
「ちょっとした空き時間に少しだけ作業する」みたいな、クリエイティブな活動が生活の一部になりそうですね。
ガッツリ彫金机ですが、机をセンターに配置したスタイルは参考になります。窓のない広い壁の中央に彫金机を配置すると、それ自体がアートのように見えます。
しかしこんなステキな壁のある物件は日本には滅多になさそうですが、一度は住んでみたいです。冬は光熱費が大変そうですが。
白い壁と、日に焼けて使い古された机とのコントラストが美しいです。
左に飾られた貝?の標本絵のせいか、どことなく汐風漂う港町を彷彿とさせます。
古い机を改造して彫金机にする方法もあります。
個人的に一番好きです。ちゃんとした彫金机なんですが、コンパクトでミニマルで、質感も最高です。窓際で陽の温かみを感じながら作業すれば、かなりマインドフルネスになれそうです。
彫金机は大きければ大きいほど良いと思っていましたが、最近は考えを改め直しました。
小さくて繊細なものを作っているのに、大きい机なんて本来は不要なはずですからね。
道具もたくさん持っていても、お気に入りは数えるほどしかありません。道具も少量・机もコンパクト。それで充分なんです!
さいごに

アイデアは無限です。
何より、ワクワクしてきませんか。
この記事を読んで、前より彫金の事が身近に感じていただけたら本当に嬉しいです。
あなただけのスタイルをぜひ見つけて、彫金にチャレンジしてみてくださいね。(ご不明な点がありましたらコメントで教えていただけたら幸いです。)

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