カテゴリー: TIPS

  • 【彫金】糸鋸の使い方・セット方法 刃の向きの使い分けについて

    【彫金】糸鋸の使い方・セット方法 刃の向きの使い分けについて

    金属板を切る上では欠かせない道具です。ここでは基本的な使い方と、糸鋸の様々な応用法を解説します。

    糸鋸の刃を正しくセットする方法

    糸鋸の刃はピンと張ることが重要です。

    これができていないと真っ直ぐ切れなかったり、刃が一瞬で折れたりしてしまいます。

    1.糸鋸フレームの上下どちらかに刃をセットする

    まず、上下どちらか、(私は下が好きです)蝶ネジをしめて鋸刃を固定します。

    手めで力一杯締めておきます。(刃の向きは用途によって異なります。詳しくは後述します。)

    この際にペンチなどの工具を使って締め込みたくなりますが、道具で締めすぎるとネジ山が潰れてしまいます。ペンチなどで閉める際は手締めの後に1/4回転プラスで締め込むくらいにしておきます。

    2.糸鋸フレームをしならせて反対端の刃をセットする

    肩やお腹などに糸鋸フレームのグリップをあてがって、机や手でフレームを体重をかけて押し付けて弓をしならせます。

    その状態のまま鋸刃をセットします。

    #0以上の太めの刃であれば大丈夫ですが、#0/8などの細い刃をセットする際は、フレームをしならせ過ぎた状態でセットすると刃がちぎれてしまう場合がありますので要注意です。

    3.刃がしっかり張られているかを確認する

    セットした鋸刃を爪で弾いて、キンッと高く短い音がすればOKです。

    張りが不十分だと「ベン…」「ピーン…」と低かったり長めの音になります。

    鋸刃の向きについて

    刃の向きをどうセットするかは状況によって変えます。

    ギザギザを上向きにセットする「押し切り」と下にする「引き切り」で使い分けます。

    それぞれ適したシーンを覚えておきましょう。

    下向き=引き切り

    オーソドックスな使い方です。板材や棒材を切り出すなど、長距離をただひたすら切りたい時に向いています。
    糸鋸を初めて使う場合は、まずはこれから練習するといいです。

    上向き=押し切り

    マルカンを切ったり、作品の一部を切断したり、ヤスリのように使う時の刃の向きです。

    基本的に板材を切る時以外は、この向きにセットしておきましょう。

    ヤスリと同じく押す動作で切れます。短距離を切る時に適しています。

    糸鋸の動かし方

    引き切りの場合は、『肩の力を抜く・押し付け過ぎない・ストロークを長く使う』ことを意識してみてください。鋸刃の進行方向には指を置かないようにします。

    糸鋸の刃の上から下までストロークを長く使って切るようにすると、断面がキレイで精密な作業ができます。

    曲がり角はストロークを短くして、その場で足踏みするように小刻みに上下しながら刃をゆっくり回転させます。刃が回転するために必要なスペースを切り削りながら確保して行くイメージです。

    切る作品や材料は2本の指でしっかりとスリ板に押し付けるように抑えて、暴れないようにしましょう。この際に、抑え方が不安定だと高確率で刃が折れます。

    押し切りの際は、間違えて手を切らないようにご注意ください。引き切りの際も、進行方向に指を置かないように気をつけます。

    切り終わりの時に誤って刃を指で受けてしまわないように、押し切りの切り終わりはスリ板でガードするようにして(スリ板も一緒に切ってしまって構いません)切るようにします。

    糸鋸はちょっと刃がかすっただけでも想像以上にザックリ切れます。細心の注意を払って作業してください。

    初心者の方は安全に作業がしやすいハンドクランプの導入もおすすめです。700円程度で購入できるのでご検討ください。

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    糸鋸の使い方 まとめ

    実際にやってみることが一番です。まずは#0の太さの鋸刃で練習すると良いです。(細すぎず太すぎず扱いやすい)

    これまでのことをまとめると、

    1. 刃はピンと張る!(爪で弾くとキンキン鳴るくらい)
    2. 板を切るときは刃を下向き(棘が下側)にセットする
    3. 細かい作業の時は刃を上向きにセットする
    4. 切るときはストロークは長く、力を抜いて!
    5. 曲がり角ではストロークは短く、足踏みしながら曲がる!
    6. 刃の進行方向に指を置かない!!!

    以上が糸鋸の基本の使い方です!たくさん練習してみてくださいね。初めて糸鋸を使って何か作ってみたい方にはこちらの作品がおすすめです。

  • ペアシェイプカットの石枠の作り方と石留の手順

    ペアシェイプカットの石枠の作り方と石留の手順

    このページでは、ペアシェイプカットの石枠の作り方を解説します。

    お手持ちのルースに合わせて、サイズのぴったりの石枠を作れるようになれば、リフォームアクセサリーが作れるようになりますね!

    使用する道具と材料

    彫金の道具のイラストです。

    使用する道具

    糸鋸フレーム、鋸刃#0
    ヤスリ(中目・細目)
    精密ヤスリ(甲丸・歪)
    ニッパー
    丸ペンチ
    リューター・スチールバー
    ロウ付けセット
    石留めセット

    彫金の道具一式と、石留めに使う道具一式が必要です。リングを作るための道具である芯がね棒などは必要ありませんが、持っていると石枠を指輪にすることが出来るようになります。

    使用する材料

    紙にトレースする ペ材料を用意する シェイプの石枠の作り方
    10mmペアシェイプカット キュービックジルコニア
    1.2mmφ SV950線材(枠・爪用)
    2.0×1.0mm SV950角線材(枠部分)
    銀ロウ材 3種類(3分・5分・7分)
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    丸線は色々なサイズを持っておいて、石のサイズによって微妙に変えると質感にグッと深みが出ます。

    丸線を全て揃えるのも大変なので、線引き板があると便利だと思います。

    欲しいサイズの丸線材を作る事ができます。

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    ペアシェイプカットの石枠の作り方

    ペアシェイプに合わせて石の形をトレースする

    紙にトレースする ペアシェイプの石枠の作り方

    方眼紙の上に石を置いて、画像のように形をトレースします。

    面倒な方は石をスキャナーで読み込んでコピーしてもOKです。

    爪の位置に印をつけておきます。

    トレースした線に合わせて地金を巻く

    丸ペンチで丸めていく 紙にトレースする ペアシェイプの石枠の作り方

    焼き鈍しをした地金を丸ヤットコなどで巻いていきます、切れ目はしずく形の先端に来るようにします。

    線の内側を狙って巻いていくと、石が枠からはみ出ずに綺麗に留まります。

    形が決まったら余計な部分は1mm程度残して切っておきます。

    ペアシェイプ形に合わせる  ペアシェイプの石枠の作り方

    糸鋸を使って、ペアシェイプの先端に切れ目がちょうど来るように画像の角度でカットします。

    ここを切れ目にする事で、ロウ付けした部分(ロウ目と言います)を隠すことができます。

    紙に合わせてルースを確認する ペアシェイプの石枠の作り方

    この際に隙間が多少あっても、あとで調整しますのでOKです。

    糸鋸で合わせをぴったりにする  ペアシェイプの石枠の作り方

    糸鋸(#0の鋸刃使用)で、切れ目に沿って切ってきます。

    あとは鋸刃の幅分空いた隙間を、ぎゅっと閉じます。

    こうする事で精密に切れ目をピッタリにすることができます。

    ペアシェイプの石枠の作り方

    石と並べるとこんな感じです。

    石枠(上段)のロウ付けをする

    ロウ付け ペアシェイプの石枠の作り方

    3分ロウなどの溶けにくいロウで、切れ目をロウ付けします。バーナーを置いた状態で、ピンセットで持って空中で行う『差しロウ』方法でやりました。

    慣れるとこちらの方が素早くロウ付けができます。

    ヤスリで整える

    ペーパーで綺麗にする ペアシェイプの石枠の作り方

    平らな部分は耐水ペーパーで平らにして、側面はヤスリで整えます。側面は少し絞りをつけて、テーパー気味にしました。

    ヤスリで整える ペアシェイプの石枠の作り方

    内側も手の入る部分は綺麗にしておきました。

    磨く場合は、綿棒を折ってリューターに装着して、研磨剤をつけて磨くのがおすすめです。

    ペアシェイプルースの受け皿を作る

    ケガキを入れる ペアシェイプの石枠の作り方

    石がしっかりと石枠に座るように、受け皿部分を作ります。

    完全に角にしてしまうと磨いたりしているうちにガジガジになってしまうので、ある程度縁を残しておきます。

    ケガキはなくてもいいのですが、縁が見やすくなるので今回は説明用につけました。

    キサゲで斜めに削る ペアシェイプの石枠の作り方

    斜めに削れれば何でも構いませんが、今回はキサゲなども出動してやってみました。

    キサゲを使って石枠を削る ペアシェイプの石枠の作り方
    刻みに向かって斜めをつけていきます。

    ペアシェイプの先端はあらかじめ精密ヤスリ(刀刃型)で刻みを入れておいて、その刻みを馴染ませるように斜め部分を削っていくと先端までシャープに削ることができます。

    上段は完成 ペアシェイプの石枠の作り方

    上面の平部分を微かに残しておきます。

    ここを残しておかないと、磨いたときに角がカミソリのように薄く尖ってしまいます。

    下の段を作る

    下段を作る ペアシェイプの石枠の作り方

    1.2φ銀線を先ほどと同じようにペアシェイプ型にします。

    横から見た時の仕上がりがスタイリッシュになるように、上段の枠よりわずかに小さくしました。

    丸線を使って石枠を作る ペアシェイプの石枠の作り方
    方眼紙に書かれている線が上段枠の輪郭です。

    あまり下段を小さくしすぎると横から見た時の爪の流れに違和感が出てきますので注意します。

    デザインによって変わってきます(好み)ので決まりはありません。

    成形 ペアシェイプの石枠の作り方

    上段と同じようにロウ付けをします。ロウ材は融点の高いものを使います。(3分ロウを使用)

    ペーパー掛け ペアシェイプの石枠の作り方

    底面を耐水ペーパーで平らに削りました。

    石枠に爪を立てる

    石枠下段の爪をつける部分に精密ヤスリなどで刻みをつけて、爪がフィットするようにします。(ペアシェイプの先端の尖っている部分は刻みを入れません)

    5分ロウで慎重にロウ付けをしていきます。爪は長めの棒材をロウ付けして、後で余分なところをカットして整えます。

    写真撮り忘れました…こちらはオーバルの時の様子です。

    なかなかロウが溶けなかったら無理せずに、一回ピックリングコンパウンドや希硫酸などで酸洗いをして仕切り直すと良いです。

    袋爪を作る

    ペアシェイプ、プリンセス、マーキスなど角のある石は、袋爪と呼ばれる構造の爪を作るのがセオリーです。

    角を包み込むように内側にくぼみを作ったり、L字型の爪にしたりと角を完全にホールドすることで石を留める仕組みです。

    石の角は欠けやすいので保護する目的もありますが、そもそも袋爪でないとしっかりと留めることができません。(角が滑ってしまいカタカタと動いて外れてしまいます)今回はL字の爪を作ります。

    3mm幅の細長い板(厚みは0.8mm)の中央に線をけがいて、『三角型』や『四角型』の精密ヤスリで折り目を作ります。

    皮一枚のところまで削ったらヤットコなどで折り曲げるとL字型の素材を作ることができます。

    スタイリッシュに見せるために先細りに削っておきます。

    上段の枠にも刻みを入れておきます。

    下段パーツと上段パーツのロウ付け

    7分ロウでロウ付けします。酸洗いもしておきます。

    先端の爪を合わせてロウ付け

    製作した袋爪を合わせていきます。下の方を削ってピッタリ合うように調整しておきましょう。

    最後に7分ロウでロウ付けしておきます。

    石留め前に磨く

    ピカピカにしたい場合はこの段階で磨いておきます。とりあえず石枠は完成です。

    ペアシェイプカットの石留め やり方

    石留めをしやすいように固定材に取り付けておきます。この道具は調理器具のすりこぎ棒に固定材を練りつけたものです。作り方はこちらの記事で紹介しています。

    バーナーで軽く炙って温めて石枠をセットします。

    精密ヤスリで刻みを入れる

    ルースをセットしてみて、石が爪とぶつかる部分に精密ヤスリで刻みを入れます。

    爪を倒す

    爪倒しやピンセットの柄などで爪を倒していきます。刻みを入れたところから曲がっていきます。

    一本ずつ一気に倒し切るのではなく、対角順に徐々に倒していきます。袋爪の部分もルース側に押して軽く曲げておきます。

    余分な爪をカット

    長い爪をカットします。今回は露形の爪にするので、ルースのテーブル面の高さより気持ち長めにカットしています。

    ヤスリで尖らせる

    精密ヤスリで爪の左右を削って尖らせていきます。まだ爪は倒れ切っていないので浮いている状態です。

    倒し切る前にヤスリで削ることで、ルースに道具を当てないように作業できます。

    使用する精密ヤスリは『刀刃型』ですが、万が一ルースにあたっても傷がつかないようにヤスリの峰をピカピカに磨いてあります。

    (ダイヤモンドヤスリ・耐水ペーパー・研磨剤で磨きます。)

    爪を薄くする

    左右を削ったら次は爪の上面を削ります。爪が薄くなることで、倒し込みやすくなります。

    爪の形も整えてきれいな露形(しずく形)にしておきます。

    袋爪も削る

    袋爪も長いので削り込んでおきます。*すみません…これ以降の画像データが消えてしまったので違う作品の同じ作業の写真や再現で解説します。

    爪を倒す

    ピンセットの柄などで、浮いた爪をぴったりルースに合わせていきます。爪を薄く削っているので、倒しやすくなっています。なかなか曲がらない場合は再度爪の厚みを削って薄くします。

    完成

    固定材から外してアセトンなどの薬品でこびりついた固定材を溶かします。

    最後にマンドレールに丸く切った牛乳パックを取り付けて、#4000研磨剤を使って爪の頭を磨いて、全体をバフなどで研磨したら完成です。

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    研磨剤をルースに当てると削れたり、カットがだれてしまいますので注意して作業します。

  • プリンセスカットの石枠の作り方と石留の手順

    プリンセスカットの石枠の作り方と石留の手順

    この記事ではプリンセスカットの石枠の作り方、留め方を解説していきます。

    プリンセスカットなどの角があるカットのルースは普通の爪留めと作り方も留め方も少し違ってきますので、そちらも合わせて解説します。

    使用する道具と材料

    彫金の道具のイラストです。

    使用する道具

    糸鋸フレーム、鋸刃#0
    ヤスリ(中目・細目)
    精密ヤスリ(甲丸・歪)
    ニッパー
    丸ペンチ
    リューター・スチールバー
    ロウ付けセット
    石留めセット

    彫金の道具一式と、石留めに使う道具一式が必要です。リングを作るための道具である芯がね棒などは必要ありませんが、持っていると石枠を指輪にすることが出来るようになります。

    使用する材料

    10mmプリンセスカット キュービックジルコニア
    1.2mmφ SV950線材(枠用)
    0.9mmφ SV950線材(爪用)
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    『線引板』を持っていると、さまざまな径の丸線を自宅で作れるようになります。

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    プリンセスカットの石枠の作り方 手順

    石の形をトレース

    石の輪郭を方眼紙にトレースします。石の一辺の長さもノギスで計測しておきます。

    地金に印を入れる

    まず最初に、切れ端を45°に削っておきます。

    トレースした線の内側に合わせて印を入れていきます。

    印に合わせて紙コンパスなどで線を入れます。

    精密ヤスリで折り目を削る

    精密ヤスリ(四角)で折り目を削ります。ここを折り曲げることでプリンセスカットに合う四角い枠を作っていく流れです。

    こんな感じになりました。

    折り曲げてロウ付けする

    先ほど精密ヤスリで削ったところを折り曲げていきます。

    そのまま3分ロウでロウ付けします。ロウ付け後は酸洗いをしておいてください。

    石枠に座りをつける

    ルースがしっかり安定して座るように、石枠を斜めに削ります。

    精密ヤスリ(刀刃)などを使って、角から削っていきます。

    他の部分も削って斜めにします。時々ルースをセットしてみて、しっかり座るかどうか確認しながら行います。

    下段も作る

    今回は石枠が二段になっていて、真ん中にスリットが入っているタイプを作ります。(この構造を『二段腰』と呼びます。)

    1段だけのタイプにしたい場合は、上段のパーツをもう少し幅の広い材料で作ればOKです。

    二段腰のメリットは、光彩を多く取れること、地金の存在感が薄くなり繊細に見えることなどがあります。

    下段も同じ要領で作ります。

    石枠の成形

    石枠は下に向かって窄まっている方が繊細に見えるのでヤスリで削っておきます。

    ちょっと斜めにしておきました。

    爪を立てる

    精密ヤスリで四つ角に刻みを入れます。ここに爪をはめ込んでロウ付けしていきます。

    丸線材をU字に曲げて挟み込むようにしてセットします。

    このままそっとロウ付けします。5分ロウを使います。

    上段にも刻みをつけてロウ付けに備えます。削りすぎると緩くなって下段と合わなくなるので気をつけながら行います。

    上からはめ込んで様子を見ます。大丈夫そうだったら7分ロウでロウ付けします。酸洗いもしておきます。

    裏面を平らに削っておきます。ヤスリの後は耐水ペーパーできれいにしておきましょう。

    これで石枠は完成です。ピカピカに仕上げたい場合は、石留め前に隅々まで磨いておきます。石留めをしてしまうと石が邪魔で道具が入らなくなってしまったり、石を傷つけてしまう原因になります。

    プリンセスカットの石留め やり方

    プリンセスカットなどの角のある石は、角を包み込む『袋状』になっている構造の爪で留める必要があります。

    通常の円柱のような爪では石が滑ってしまって留まりません。

    この、角を包み込む仕組みの爪を『袋爪』と言います。今回は普通の丸線で作った爪を袋爪に加工していきます。

    固定材に取り付ける

    石留めをしやすいように固定材に取り付けておきます。この道具は調理器具のすりこぎ棒に固定材を練りつけたものです。作り方はこちらの記事で紹介しています。

    バーナーで軽く炙って温めて石枠をセットします。

    爪位置に印を入れる

    ルースをセットしてみて、石の角が爪と当たる位置に印をつけます。ルースをセッティングしたままカッターなどで印を入れておきます。

    本来ではメスを使いますが、このような普通のカッターやデザインナイフなどでもOKです。小さくて細い爪などはカッターでは厳しいので、メスがおすすめです。

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    替え刃のタイプはNo.11型がおすすめです。当たり前ですが、メスはとんでもなく切れ味がいいので取り扱いには本当に気をつけてください。

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    印の位置に溝を入れる

    ブッシュスチールバーNo.414型 1.2mmを使用して、カッターで入れた切れ目の位置に溝を入れます。

    この溝にプリンセスカットの角をホールドして留めていきます。

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    こんな感じになりました。

    石をセットして爪を倒す

    石をセットしてみて、しっかりと先ほどの溝にはまっているかを確認します。

    石が斜めに座っていないことを確認したらピンセットの柄や爪倒しなどで爪を対角順に倒していきます。

    一気に倒し切るのではなく、順番に少しずつ倒していきます。

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    ニッパーでカットする

    余分な爪をニッパーでカットします。ルースのテーブル面の高さに合わせてカットします。

    爪の成形

    お好みの形にヤスリで削っていきます。今回は丸い爪にしようと思います。

    精密ヤスリ(刀刃型)で細かいところも削ります。ルースにヤスリが当たると傷ついてしまうので、ルースになるべく当てないように気をつけます。

    また、ヤスリの峰をピカピカに磨いておくとルースに当たっても傷が付きづらくなります。

    ロールサンダーなどで爪の太さを調整しておきます。ルースには当てないようにしましょう。

    しっかり留められていない時は…

    石がカタカタ動いてしまっている場合は、彫刻台や万力などにセットしてナナコタガネで叩いて留めます。

    彫刻台の方が作業がしやすいですが、とりあえずやってみたいだけでしたら、ボール盤バイスがおすすめです。(フクリン留めもできるようになります。)

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    おたふく鎚を使ってナナコタガネを叩いて爪を倒していきます。ルースが完全に留まると響くような手応えが伝わってきますので、そうなったら完了です。

    ルーペなどで見てみて、爪が浮いてない(石と爪の間に隙間ができていない)状態になっていればOKです。

    留まっているのに叩き続けると石が割れるので注意します。

    完成

    磨いたら完成です。これを元に指輪やネックレスにすることもできます。市販の空枠に角のあるルースを留める時にも、『袋爪』にすることでしっかり留めることができます。

  • マーキスカットの石枠の作り方と石留の手順

    マーキスカットの石枠の作り方と石留の手順

    この記事ではマーキスカットの石枠の作り方、留め方を解説していきます。

    マーキスカットやプリンセスカットなど、角があるカットのものは普通の爪留めと作り方も留め方も少し違ってきます。

    使用する道具と材料

    彫金の道具のイラストです。

    使用する道具

    糸鋸フレーム、鋸刃#0
    ヤスリ(中目・細目)
    精密ヤスリ(甲丸・歪)
    ニッパー
    丸ペンチ
    リューター・スチールバー
    ロウ付けセット
    石留めセット

    彫金の道具一式と、石留めに使う道具一式が必要です。リングを作るための道具である芯がね棒などは必要ありませんが、持っていると石枠を指輪にすることが出来るようになります。

    使用する材料

    石枠 自作 ルース 台座 彫金
    10mmマーキスカット キュービックジルコニア
    1.2mmφ SV950線材(枠・爪用)
    2.0×1.0mm SV950角線材(枠部分)
    ロウ材 3種類(3分・5分・7分)
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    マーキスカットの石枠の作り方 手順

    石枠 自作 マーキス

    石の形をトレース

    石の輪郭を方眼紙にトレースします。この下書きの線からはみ出さないように地金を巻いていきます。

    石枠がルースより大きくなってしまうと、留めた時に正面から石枠が見えてしまって、ルースの輝きを邪魔してしまいます。

    ピッタリ合わせるのは難しいのでは…と思われるかもしれませんが、多少はみ出た分だけでしたら後から削り落とせるので全然大丈夫です。

    なるべくはみ出さないように気をつけてみてください。

    丸ペンチなどで加工

    石枠 自作 ルース 台座 彫金

    マーキスカットの石枠は、円弧状のパーツを2つ作ってくっ付ければ作れます。下書きの形に合わせてカーブを作ります。

    材料は焼き鈍しをしておきます。

    石枠 自作 ルース 台座 彫金

    切れ目は平らなヤスリで削って合わせていきます。なるべく平らに合わせられるように頑張ります。

    ロウ付けする

    石枠 自作 ルース 台座 彫金

    パーツ同士を並べて3分ロウでロウ付けします。ロウ付けが終わったら酸洗いをしておいてください。

    石枠の成形

    石枠 自作 ルース 台座 彫金

    石枠の形を整えます。ルースを乗せてみて輪郭からはみ出たところは削っておきましょう。

    ルースの座りを良くする

    石枠 自作 ルース 台座 彫金

    このままではルースが深く座らず、安定感もないので、石枠の内側を斜めに削っておきます。

    石枠 自作 ルース 台座 彫金

    まずは角の部分を精密ヤスリの刀刃型などで削って、次に精密ヤスリの甲丸型(別名:半丸型)などで他の部分を削っていきます。

    石枠の下段を作る

    石枠 自作 ルース 台座 彫金

    今回は石枠を2段タイプにしました。この構造を『二段腰』と呼びます。1段だけのタイプにしたい場合は、上段のパーツをもう少し幅の広い材料で作ればOKです。

    二段腰のメリットは、光彩を多く取れること、地金の存在感が薄くなり繊細に見えることなどがあります。

    石枠 自作 ルース 台座 彫金

    工程は上段パーツの時と同じです。ただし、石枠は横から見たときに逆プリン型に見えると美しく見えるため、上段パーツよりも少し小さめに作ります。

    下段パーツを整える

    石枠 自作 ルース 台座 彫金

    下段パーツは1.2mmφの線材から作ったので、両面を耐水ペーパーなどで平らに削って、外側も上段に合わせて削ります。

    爪を立てる

    爪を立てる位置に精密ヤスリで溝を削ります。

    爪をロウ付けするための『のり代』になります。

    石枠 自作 ルース 台座 彫金

    下段からロウ付け(5分ロウ)します。この時、U字型にした丸線を挟む混むようにしてロウつけするとやりやすいです。

    こういう感じで丸線をU字型に曲げて、石枠のパーツに挟んでロウ付けします。精密ヤスリで削った溝にカチッとはまります。

    石枠 自作 ルース 台座 彫金

    上段パーツにも刻みを入れます。削りすぎて失敗しないように、下段パーツと合わせて確認しながら作業するようにします。

    上段パーツのロウ付けと成形

    石枠 自作 ルース 台座 彫金

    上段パーツを7分ロウでロウ付けしたら、酸洗いをして全体をヤスリで整えます。

    爪の余分を切って、底面を耐水ペーパーなどで平らにしておきましょう。

    石枠 自作 ルース 台座 彫金

    細かなところは超硬ヘラなどを使うとやりやすいです。

    マーキスカットの石枠 完成

    石枠 自作 ルース 台座 彫金

    以上でマーキスカットの石枠は完成です。一息ついたら石留めもしてみましょう!

    マーキスカットの石留め やり方

    さて、マーキスカットのルースを石留めしていきます。マーキスカットなどの角のある石は、角を包み込むような爪にしなければ石が滑ってしまって留まりません。

    この、角を包み込む仕組みの爪を『袋爪』と言います。今回は普通の丸線で作った爪を袋爪に加工していきます。

    固定材に取り付ける

    まずは石留め作業がしやすいように固定しておきます。この道具の作り方はこちらの記事で紹介しています。

    バーナーで軽く炙って温めて石枠をセットします。冷えて固まるまで待ってから作業します。

    袋状に加工する

    まずはルースを石枠に座らせてみて、爪にルースの角が当たる部分に印をつけておきます。

    スチールバーNo.414型を使って角が当たる部分を削って溝を彫ります。

    ブッシュスチールバーNo.414型です。サイズは石座の大きさによって変わりますが、ここでは1.2mmを使いました。

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    溝が入りました。ここにルースの角をはめ込んで石留めしていきます。

    ルースをはめ込む

    先ほど入れた溝にルースの角がはまってホールドされます。あとは爪を曲げていくだけです。

    爪を倒す

    ピンセットの柄や爪倒しなどを使って爪を倒していきます。一気に倒すと余計な力が石に伝わり危険です。カタカタ動かなくなるまで少しずつ倒していくようにします。

    ルースを触ってみて動かなくなればOKです。それ以上いじらないようにします。

    余分をカット

    爪のデザインによって多少変わりますが、ルースのテーブル面と同じ高さに切っておきます。

    爪を整える

    精密ヤスリの刀刃型などを使って、爪の形を整えます。ルースにヤスリが当たると傷がつくので、ヤスリの側面はツルツルに磨いておくと良いです。

    ルースに当てないように気をつけつつ、爪の上面などをロールペーパーなどで整えます。

    終わったら軽く火で炙って固定材から外します。アセトンなどの薬品につけて固定材を溶かしておきます。

    仕上げ

    牛乳パックを丸く切ってマンドレールに取り付けたものに、#4000研磨剤をつけて磨きます。

    ルースに研磨道具を当ててしまうと石が削れたり、カットがぼやけてしまうので当てないようにします。

    その後仕上げ用研磨剤#8000~で磨けば完成です。

    完成

    これで完成です。ここにマルカンをロウ付けすればネックレスになりますし、指輪パーツをつければリングになります。

  • 【銀/真鍮/鉄/ステンレス】銀ロウ付けの手順と失敗しないコツ

    【銀/真鍮/鉄/ステンレス】銀ロウ付けの手順と失敗しないコツ

    ロウ付けができれば、色々なものが作れるようになります。

    シルバーアクセサリーや真鍮の他にも、ステンレスや鉄までロウ付けができる汎用性の高い銀ロウですが、初めての方だと少し難しく感じるかもしれません。

    今回は、ロウの選び方やロウ付けの手順・コツなどを解説していきます。

    シルバーや真鍮の他にも、ロウ付けが難しい鉄やステンレスをキレイにロウ付けする方法もご紹介します。

    ロウ付けに必要な道具

    ロウ付けの道具
    バーナー
    耐火レンガ
    ハニカムブロック
    酸洗材(ピックリングコンパウンド)
    フラックス
    長いピンセット
    短いピンセット
    銀ロウ(3.5.7分)
    逆ピンセット(あると便利)

    水入れと爪楊枝も用意しておいてください。

    解説: 新富士 パワートーチ RZ-820SS
    このサイトで登場するタイプよりも空気量の調節がしやすく、価格も安いモデルです(ボンベ別売り)
    ガス缶も安くて入手しやすく、長く使える優れものです。3本入りがおすすめです。

    ロウ材についての説明

    汎用性が高く、難易度も低いロウ材です。ほとんどの金属をロウ付けできます。

    銀・銅・亜鉛が主成分で、1分イチブ3分サンブ5分ゴブ…など種類によって融点が異なり、数字が小さい方が溶けにくく(融点が高い)難易度が高くなります。

    この融点の温度差を使い分けて、複数個所ロウ付けをしてもバラバラにならないように作業できますので、ロウは数字の小さい順番から使っていくようにします。

    また、数字が小さいロウの方が銀の純度が高いので、色味もシルバーの色に近いです。(数字が大きくなるにつれて黄色味が強くなります。)

    また、さらに溶けやすい『早ロウ(はやろう)』というものもあり、名前の通り融点が低いので早く溶けます。溶けやすくするためにカドミウム(アレルギーになりやすい)などの金属が添加されているものが多い傾向にあります。

    ただし、近年はカドミウムフリーのロウ材も増えていますので、お買い求めになる際は「カドミウムフリー」の表記があるかどうか確認してみてください。

    買っておくべき銀ロウは3・5・7の3種類

    3分・5分・7分の3種類を持っておけば、ほとんど何でも作れるようになります。

    色々な種類があって迷いますが、これだけ買っておけばOKです。

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    ロウは細かく切って使う

    銀ロウを買ったらしておくべきこと

    板状のロウ材は細かく切って使います。ロウ材には3分ロウなら『3』、5分ロウなら『5』と刻印が打ってありますが、切って使っていくうちに刻印がなくなってしまい判別が難しくなります。

    どこで切っても何のロウか判別ができるように、油性ペンで異なる色に塗っておきましょう。

    3分ロウが黒、5分ロウは赤、7分ロウは青…といった感じです。こうしておくと小さく切っても判別が簡単になります。

    細かく切ったロウはピルケースに入れて保管します。プラスチック製よりも耐熱性のあるアルミ製などがおすすめです。(作業中に熱いピンセットで追加でロウを取ることがある為)

    ロウ付けの作業手順

    作品を酸で洗う・脱脂する
    フラックスを塗る
    バーナーで作品を加熱する
    ロウを作品に置いて溶けるまで加熱
    酸洗いをする

    1. 作品を酸で洗う・脱脂する

    酸洗いをしてロウ付けしたい作品(対象物)を綺麗な状態にしておきます。作品の表面がくすんでいたり、酸化皮膜(サビのようなものです)で覆われていたりするとロウ材が広がらずにダマになってしまいます。

    酸洗いをすることで作品の表面を綺麗にすることができます。ロウ付け前は表面がキレイかどうか入念にチェックしておきましょう。

    また、研磨剤や油分が付着しているとロウが綺麗に流れません。洗剤などでよく洗っておきます。

    参考: 酸洗いに必要なものとやり方・手順

    フラックスを塗る

    2. フラックスを塗る

    フラックスを塗ったところに溶けたろうは流れていきます。フラックスは加熱すると水飴状の膜になり、作品の表面が酸化して黒ずんでしまうのを防ぐ作用があります。

    ロウ付けをしたいところにたっぷりフラックスを塗っておきましょう。筆や爪楊枝などを使うと良いです。

    フラックスはペースト状になっていますが、水分が飛ぶと固まってきます。完全に乾燥してしまう前に水を補充しておきます。

    バーナーで作品を加熱する

    3. バーナーで作品を加熱する

    耐火レンガとハニカムブロックの上にフラックスを塗った作品を置いて、バーナーで加熱していきます。バーナーで温めていくと、フラックスが沸騰して白色から徐々に透明になってきます。

    銀ロウは炙るような火で行うと上手にできます。バーナーの火の先がちょっと跳ねるような柔らかめの火が理想です。

    ロウ付け箇所を集中的に炙るのではなく、全体的に炙っていくようにします。

    ロウを作品に置いて溶けるまで加熱

    4. ロウを作品に置いて溶けるまで加熱

    フラックスが透明になってきたらロウ材をロウ付けしたいところに置いて、さらに加熱します。

    しばらくするとバターが溶けるようにロウが広がっていきます。

    ロウがくっつけたいところに回ったら火を止めて水に入れて冷やします。

    酸洗いをする

    5. 酸洗いをする

    フラックスや酸化皮膜を除去するために、再度酸洗いをしておきます。以上でロウ付けは終了です。

    理想の火加減

    理想の火加減
    ベストな火加減
    強すぎる火
    火が強すぎる様子

    目玉焼きを作るときと同じように、ロウ付けも火加減が重要です。火が強すぎると、ロウ材がしわしわになって溶けてくれなくなってしまいます。(この状態をロウが『枯れる』といいます。)

    銀ロウをロウ付けするときのバーナーの火加減は、炎の先がちょろちょろと筆のように揺れるくらいが良いです。

    ステンレスや鉄をロウ付けする場合

    ステンレスや鉄は、シルバーや真鍮などよりも酸化しやすいです。火で炙るとフラックスが溶け出す前に黒ずんでしまい、ロウが流れなくなってしまいます。

    ステンレスや鉄をロウ付けするときは専用のフラックスを購入するか、ボンプロ液を使います。

    ボンプロ液は金をロウ付けする際に使う薬品ですが、鉄やステンレスをロウ付けする時にも役立ちます。鉄やステンレスが酸化し始めるより低い温度で表面を保護します。

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    ボンプロ液を使って鉄やステンレスをロウ付けする手順

    1. フラックスを塗る

    フラックスを塗ります。工程1と2の順序は逆でも構いません。

    2. ボンプロ液をつける

    ボンプロに作品を漬けるか、筆で塗って軽く火で炙ります。ボンプロ液は主成分がアルコールなのですぐに揮発します。

    当然、ボンプロ液は引火性ですので気をつけて作業してください。万が一ボンプロ液の瓶に引火してしまった場合は、慌てずに蓋を閉めて酸素の供給を遮断してください。(すぐ火が消えます)

    絶対に水をかけないようにしてください。(アルコールは水に溶けやすいため、水をかけたところ全体に燃え広がることがあります)

    3. ロウ付けする

    ここからの手順はシルバーや真鍮と同じです。ボンプロ液をつけたことで白い膜が表面を覆っています。加熱とともに徐々に透明になってきます。

    銀ロウ付けの手順と失敗しないコツ まとめ

    ロウ付けは火を使うので、敷居が高く感じるかもしれません。でも、出来るようになると可能性がぐんと広がります。

    より立体的で手の込んだものが作れるようになりますので、ぜひ挑戦してみていただけたら幸いです。

    やってみると、意外と難しくないことが分かると思います。

  • 【自宅でできる】空枠に自分でルースを留める手順・やり方

    【自宅でできる】空枠に自分でルースを留める手順・やり方

    *このサイトで紹介する商品には広告が含まれています。

    簡単にお手持ちのルースをアクセサリーにできる空枠が色々販売されています。

    今回はどういう道具を使って、どうやって留めていくのかを石枠タイプ別にご紹介します。

    必要な道具と材料

    彫金の道具のイラストです。
    時計ヤットコ#0
    石留めヤットコ
    ピンセット
    メス(なければカッターでも可)

    市販の空枠に石を留める程度であれば、簡単な道具をいくつか持っていればOKです。

    1. 時計ヤットコは精密な作業ができるペンチのようなものです。番手(大きさ)が色々あり、数字が小さいほどサイズも小さくなります。石留めで使うのは小さめの#0(なければ#00)が良いです。

    2. 石留めヤットコは特殊な形状のヤットコ(ペンチのようなもの)です。爪を倒すときに使います。

    3. スリ板は机に取り付けて使う板切れです。スリ板に作品を押し付けながら作業することで、より安定して力を入れられたり、正確な作業ができるようになります。

    彫金を本格的に始めたい場合は、以下の記事をご覧ください。

    クラウン型 空枠の留め方手順

    石留め,空枠にブルーとパーズを石留めする

    爪が複数ついているタイプの石枠にファセットカットのブルートパーズを留めていきます。

    1.爪を開いてルースを差し込む

    ルースを入れてみますが、そのままでは入らないので、時計ヤットコなどで爪を開いておきます。

    全てを広げず、一部を何本か軽く開いておけばOKです。なるべく最小限で済むようにしておきましょう。

    空枠の石どめで爪を開く
    爪を5本ほど開いたら石が入りました。
    空枠の爪を倒す

    2.爪を倒す

    ピンセットの持ち手などで爪を倒します。端から順番に倒すのではなく、対角順に倒すようにしましょう。

    一部分を一気に倒すとルースが斜めに留まってしまうことがあります。1本倒したら、次は反対側の爪を倒すようにしましょう。

    空枠の爪を倒す

    3.さらに爪を倒す

    この段階でもう石は動きませんが、爪の先端が浮いているので服の繊維や髪の毛が引っかかりやすくなっています。

    石留めヤットコを使って、さらに爪を倒します。

    空枠にルースを石留めする,石留めヤットコを使う

    石留めヤットコの下側に両面テープなどで革を貼っておくと石枠を傷つけずに作業ができます。

    ルースに道具を当てないように注意しましょう。

    空枠にルースを石留めする,石留めヤットコを使う
    石留め,空枠にブルーとパーズを石留めする

    4. クラウン型空枠の石留め 完成

    指で触ってみて引っ掛かりがなければ完成です。チェーンなどを通してネックレスにしました。

    一般的な空枠の留め方

    並爪の空枠の留め方

    普通のよく見るタイプの空枠も留めてみます。オーバルカットのアメジストです。

    石留め,空枠にアメジストを石留めする

    1. ルースの位置をマーキング

    このままいきなりヤットコなどで曲げていくと…ルースを支点にして爪が曲がることとなります。

    ルースに余計な力が加わってしまい、割れるリスクが高くなりますので、石留め前にあらかじめ爪を曲げておきます。

    石留め,空枠にアメジストを石留めする,印をつける

    メスやカッターなどで、ルースのガードル(ルースの輪郭の横面部分=赤矢印の部分)の高さに印を入れておきます。

    石留め,空枠にアメジストを石留めする,爪を曲げる

    2. 印の位置まで時計ヤットコで曲げる

    印を入れた位置で爪をくの字に曲げます。時計ヤットコを使います。

    石留め,空枠にアメジストを石留めする,爪を曲げる
    このくらいになるまで曲げておきます。
    石留め,空枠にアメジストを石留めする,爪を曲げる

    3. 石留めヤットコを使って爪を倒す

    くの字に曲げたので、ルースが入らなくなっています。爪を2本少しだけ広げて、ルースを差し込み、石留めヤットコを使って爪を倒していきます。

    石留め,空枠にアメジストを石留めする,石留めヤットコを使って爪を曲げる
    ルースに道具が当たらないように注意します。
    石留め,空枠にアメジストを石留めする,爪を曲げる

    横から見た時にルースが斜めになっていないか確認しながら作業します。

    最初にある程度、『くの字』癖を付けておくことでルースに爪が押し付けられなくなり、ルースへの負担を軽減できます。

    空枠を自分で留める方法 まとめ

    市販の空枠にルースを留める方法を解説してきました。

    ただ、規格にないサイズのルースはサイズの合う枠がなかなかありません。彫金で1から作ってしまえば、どんなサイズの石もアクセサリーにすることができます。

    最後までお読みいただき、ありがとうございました。

    https://tuucul.com/accessory/how-to-make-accessory-gemring-emeraldcutring/

    最後にお知らせ

    自宅で作るK18のリング, 結婚指輪,マリッジリング,ダイヤモンド

    ただいま、自宅で金とダイヤの指輪を作る方法をメール講座で配信しております。金のロウ付けのコツや、ダイヤを割らずに留める方法を公開しています。自宅で彫金を始めるためのPDFリストも配布中です。(メール講座もPDFも無料です)

    無料ですのでよろしければご購読いただけたら嬉しいです! ↓こんな感じの内容です。

  • 【金属・石・ガラス用】エポキシ接着剤のおすすめとやり方

    【金属・石・ガラス用】エポキシ接着剤のおすすめとやり方

    ジュエリー制作をはじめ、金属やガラス・石などを接着する際には、最強の選択肢であるエポキシ接着。

    今回はエポキシ接着剤の中でも特に強力な接着剤の銘柄と、より強力に接着する方法を解説します。

    おすすめのエポキシ接着剤

    おすすめのエポキシ接着剤

    エポキシ接着剤でも、多くの製品が販売されています。その中でも取り分け強力なものが、画像のアメリカ製のDevcon S-208です。

    透明度も高く、便利な注射器タイプで、硬化剤と主剤が同時に適量ずつ押し出されるので、降下剤が少なすぎたりすることもなく硬化不良が起こりにくい仕組みです。

    他の製品と比べて粘着力が非常に高く、完全に硬化してしまうと非破壊では外れなくなります。
    エポキシ接着剤は、熱湯につけると柔らかくなるものが多いですが、これの場合は200℃くらいまで加熱しなければ外すことはできません。

    少々価格は高いですが、強度を求めたい場合は非常におすすめです。これは5分硬化タイプですが、同シリーズに30分硬化や、90分硬化タイプもあります。

    エポキシ接着剤をより強力につける方法

    接着面を有機溶剤で脱脂する

    1.有機溶剤で接着面を拭き取る

    アルコールなどで接着する面を拭き取り、脱脂をしておきます。脱脂を入念に行うことで、より強力に接着することができます。

    錆や汚れが多くみられる場合は、紙ヤスリなどで表面をきれいにしておきます。

    紙ヤスリで削った後は粉が付着しているので、水洗い後に乾燥させてアルコールで脱脂します。

    エポキシの使い方

    2.接着剤を出す

    紙パック・ビニールなどの上に接着剤を出します。5分硬化タイプなど、すぐに固まり始めるものを使う場合は、多く出しすぎると無駄になってしまいますので注意です。

    エポキシ接着剤を攪拌する

    3.攪拌する

    主剤と硬化剤を爪楊枝などで、全体がしっかり混ざり合うようにかき混ぜます。

    硬化までの時間がない場合は、なるべく早く済ませるようにしましょう。

    エポキシ接着剤を塗布

    4.接着剤を塗布する

    脱脂したパーツや作品にエポキシ接着剤を塗ります。爪楊枝などを使うと楽です。

    エポキシで接着する

    5.接着する

    それぞれを貼り合わせておきます。なるべく強い力で挟んでおくとより強力に接着ができます。

    はみ出た接着剤が気になる場合は、アルコールをつけた綿棒でそっと拭き取ります。

    使用強度が保てる時間まで触らないようにしましょう。この接着剤は90分程度ですが、接着剤によっては24時間ほどかかります。気温によっても変化しますので、注意します。

    エポキシに蓋をする

    便利な蓋付き

    Devcon S-208には便利な蓋が付いていますので、カチッとはまるまで差し込んで保管します。

    念の為、漏れてもいいようにジップロックなどに密閉しておくと良いです。

    自宅で作れる彫金レシピ

  • 彫金用語解説 焼き鈍し

    彫金用語解説 焼き鈍し

    焼き鈍しとは加工などによって硬化した金属を、バーナーで赤熱状態になるまで熱することによって、金属内部の結晶組織を均一(リセット)する作業のことです。

    焼き鈍しを行うと、金属は柔らかくなり加工性が向上します。

    焼き鈍し・焼鈍(しょうどん)とも呼ばれます。

    彫金における焼き鈍しの必要性

    板材・棒材など加工された材料を用いて作品を作る場合は、そのままだと曲げたり折ったりする際に硬くて加工しづらいので、材料を切り出した段階で最初に焼き鈍しを行います。

    板状・棒状に加工されて販売されている金属は、製造段階で加工硬化しているためです。
    貴金属加工業者への加工依頼時には、多くの場合”鈍し加工”のオプションがあります。

    地金の展延加工時の焼き鈍し

    圧延ローラーなどを使って地金を伸ばす際は、定期的に焼き鈍します。3~4回ローラーで引いたら一度焼きなましを行います。

    少々手間ですが、これを怠ると地金の靭性が失われて亀裂やささくれが発生します。
    地金の溶解後、ローラーで展延させる場合は、溶かした地金ブロックの全長が倍の長さになるまで焼き鈍し行わず、地金を”締める”必要があります。

    焼きなまし

    焼き鈍しの手順

    1.バーナーで加熱後、冷却

    バーナーで赤くなるまで加熱します。金・シルバー・銅・真鍮は基本的にはすぐに水で冷やす(急冷)ようにします。

    プラチナは室温で放置(除冷)して徐々に冷却させます。

    ピンクゴールドに関しては、割り金(金・銅のほかに一緒に混ぜてある金属)の成分によっては急冷するとひび割れを起こす事があります。ブランド品に多い、白金族を割り金として使用して硬さと色味を調整しているピンクゴールドの場合は要注意です。そういう場合は徐冷で対応します。

    炭素鋼などの焼きなましは徐冷が基本となります。炭素鋼で急冷をすると逆作用である焼き入れとなり、硬度が最大になります。

    2.酸洗いを行う

    酸洗いをして、酸化皮膜をきれいに取り除きます。特に圧延ローラーで地金を加工する際は、地金がきれいな状態になっているか注意します。

    酸化皮膜が押し潰されて、地金に食い込んでしまうと地金表面が荒れてしまいます。

    地金加工時には定期的な焼き鈍し必要

    焼き鈍し怠るとひび割れなどのリスクがある他、硬いので自在に地金を加工することが困難になります。硬いと感じたら焼き鈍しを都度行うようにしましょう。

  • 彫金用語解説 酸洗い

    彫金用語解説 酸洗い

    金属はバーナーなどで加熱させると表面が黒ずみ、汚くなってきます。これをリセットさせる工程を酸洗い(さんあらい)と言います。

    酸化皮膜で覆われた金属を酸性の溶液に漬けて皮膜を剥がします。

    酸洗いに必要なもの

    酸洗い剤
    金属製ではない密閉できる容器(陶器・ガラスなど)
    ピンセット

    酸洗材(ピックリングコンパウンド・ディクセル)を溶かした水につける方法と、希硫酸で煮る方法があります。

    ご自宅での作業には、比較的安全な酸洗剤(ピックリングコンパウンド・ディクセル)が向いています。

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    ピックリングコンパウンド・ディクセル(酸洗剤)を使って酸洗いをする手順

    酸洗用のガラス瓶

    1.酸洗材をぬるま湯に溶かす

    温かい湯に顆粒状のピックリングコンパウンドを溶かします。容器は密閉できるガラス瓶が最適です。

    溶かす湯は熱湯である必要はありませんが、温かい方が反応が良くなります。
    常温水でも可能ですが、長く漬けておく必要があります。

    ピックリングコンパウンドを溶かした水は再利用が可能なので、そのまま密閉瓶に入れて保存しておきましょう。

    手に付着した場合は速やかに洗い流してください。その他、ご利用前に取扱説明書をよくお読みください。

    酸洗材につけた作品

    2.作品を5分程度漬ける

    ロウ付けした後や、焼きなましをした後の作品を先ほどの酸洗材の水溶液に漬けておきます。

    5分程度経つと黒ずみが取れてきますので、ピンセットで取り出して水洗いしておきます。
    以上で酸洗いは終了です。

    希硫酸での酸洗い

    より強力で効率的に酸洗をする必要がある場合は、希硫酸での酸洗いをします。

    自宅での作業には向きません。有害な蒸気が発生するのと、飛び散る酸が周囲を激しく腐食させます。
    カセットコンロなどにセラミック製のボウルを置いて、その中に希硫酸と作品を入れて煮ます。(換気をしながら行いましょう)キッチンがボロボロになることを覚悟しておいてください。

    蒸気を吸い込むと咳が止まらなくなりますので必ず換気扇の下で行います。

    希硫酸は5~10%程度の濃度で行います。硫酸から希釈させる場合は保護メガネ・ゴム手袋を着用しましょう。硫酸に一気に水を注ぎ込むと激しく反応して大変危険です。ガラス棒などを添えて少しずつ希釈させます。
    カセットコンロなどで加熱する際は、激しく沸騰させずに少し煮立ったくらいで火を止めて取り出します。

    以上の観点から、酸洗剤を推奨します。酸化被膜が落ちにくい場合は、酸洗剤を作り直して再度トライしてみてください。大抵の場合はそれで落ちると思います。

    自宅で作れる彫金レシピ

  • オーバルカットの石枠の作り方と石留の手順

    オーバルカットの石枠の作り方と石留の手順

    このページではオーバルカットの石枠の作り方、石留めのやり方を解説します。

    必要な道具と材料

    指輪を作る彫金道具一式

    使用する道具

    基本の彫金道具にプラスして、石留めの道具が必要です。

    https://tuucul.com/accessory/how-to-make-ring-step1/

    石留めの道具で今回使うのは、下の道具だけで全部で2000円しないくらいでしょうか。石枠の石留めはこれだけあれば留める事ができます。

    • 石枠を固定する自作道具(作り方は#固定具をご参照ください)
    • ナナコタガネ(大きめのもので#13-#16あたりを揃えておくと良いです。1本100円くらいです。)
    • ナナコタガネ専用グリップ
    • ピンセット(100均のヤツでOKです)
    • 精密ヤスリ(魚地球印の”刀刃や笹刃”と”半丸(甲丸)”がおすすめです)

    上のリストの道具の作り方や選び方は、こちらで詳しく紹介しています。

    使用する材料

    材料リスト 

    ・キュービックジルコニア:10×8mmラウンドブリリアントカット
    ・銀材SV950 :1.2×4×60mm(角線材)、φ1.2×60mm(丸線材)

    丸線材は全てのサイズを揃えるよりも、線引き板を購入するとお得です。直径0.5mm単位で好きなサイズの丸線材を作れるようになります。

    いろいろなものをこれから作りたいと考えている方は、導入してみても良いと思います。

    おすすめツール(重要度★★☆☆☆)

    S&F(シーフォース) 超硬線引盤 丸 小 0.26-2.80mm

    先を尖らせておいた線材をこの穴に通して引っ張ることで、自在に太さを変えられる道具です。

    安いものもありますが精度が悪く狙った太さにできない事がありますが、使えないわけではありません。

    角線を引けるタイプもあります。

    オーバルカットの石枠の作り方の手順

    型紙にルースの形を下書きする

    ルースの形を方眼紙などに写して、それを設計図にして作ります。

    フリーハンドでOKです。

    対角線を引いて、爪の位置を確認します。

    爪は石の重心を通っていればお好きな位置で大丈夫です。

    型紙に沿って丸ペンチで材料を曲げる

    焼き鈍し(バーナーで赤くなるまで加熱すると柔らかくなります。)をしたシルバーの帯を丸ペンチ(丸ヤットコ)などで丸めていきます。丸ペンチは100均のものです。

    線の外へ出ないように(線の内側におさめるように)曲げていきます。

    これは、石よりも枠が大きくなってしまうと、留めた際にブカブカな印象になってしまうためです。枠が見えない方が完成した際に石が綺麗に見えます。

    この際、帯の切れ目は爪で隠れる位置にできると良いです。(完成時にロウ目が目立たなくなります)

    所々印をつけながら、型紙のカーブに沿ってなるべく正確に曲げていきます。

    余分な材料を糸鋸で切る

    糸鋸を使って、余分な部分を切断します。糸鋸の刃は#0を使いました。

    ある程度長めのところで一回切って、なるべくカーブに沿わせてから、糸鋸で切り詰めていくとやりやすいです。

    爪の位置のところに合わせて切りました。(つもりでしたがズレちゃいました)

    丸ペンチを使ってピッタリと合わせます。

    指輪を作る時と同じように、切れ目に糸鋸の刃を一回通して(切れ目をなぞる様にもう一度切る)隙間をなくします。

    ピッタリになりました。

    石を乗せてみるとこんな感じです。(横からの写真も撮ればよかった…申し訳ございません。)

    ロウ付けをする

    一番融点の高いロウでロウ付けします。ここでは3分ロウを使いました。

    のちの工程で、爪などもロウ付けしていきますので、一緒に溶け出してしまわないように高純度(=溶けにくい)のロウを使い分けます。

    酸洗いをして、酸化皮膜を取り除きます。

    下段も同じように作る

    1.2mmφのsv950線を使って、下の段も作りました。

    上の段より気持ちひとまわり小さく作ると良いです。

    こちらは一旦置いておいて、他の作業に入ります。

    石枠にテーパーをつける

    最初に作った輪っかを削って、テーパーをつけます。

    横からみると逆プリン形になるように“絞り”をつけていきます。こうすることで石枠がスリムに見えてルースを引き立てることができます。

    このくらい削りました。石と接する面側(上面)は極力削らないようにします。

    丸線から作った方も、上面・底面・側面を加工していきます。

    こんな感じになりました。

    瞬間接着剤等で2つをくっつけて、一緒にテーパーを削ってしまうのも手です。接着剤は軽く火で炙るとすぐに取れます。接着剤は弾力のあるゲル状タイプよりもカチカチになる“流し込みタイプ”が良いです。

    ルースを受けるお皿部分を作ります。

    ルースの座りが良くなるように、斜めを作ります。

    上面の平部分は少し残すようにします。

    爪を作る

    爪材には1.2mmφのSV950丸線を使います。

    爪の位置に油性ペンで印をつけます。

    精密ヤスリで、油性ペン印の位置に爪がはまる溝を削ります。溝が斜めになったりすると、ロウ付けの時にもれなく爪も斜めに付いてしまうので水平垂直を意識します。

    下段も同じ位置に刻みを入れます。上段下段を重ねて、刻み位置を確かめながら作業するようにします。

    軽く研磨する

    やらなくてもいいのですが、爪をロウ付けしてから磨くと細かなところまで磨けなかったり、余計な部分を研磨してしまい形が崩れてしまいます。

    この段階で磨いておくと、仕上げ時に少しの手間でクオリティを落とさずに光沢を出す事ができます。

    ただし、研磨剤などの油脂がついていると高確率でロウ付けが上手くいかなくなります。

    しっかりと脱脂と洗浄を心掛けます。

    下段石枠 – 爪パーツのロウ付け

    下段石枠から、爪のロウ付けを行います。爪の丸線材は画像のように長めに切っておいて、ロウ付け後に余分な部分をカットする作戦で行くとやりやすいと思います。5分ロウを使っています。

    ハニカムブロックの穴に差し込んで固定しました。(下段石枠のロウ目位置が爪とずれてしまっているのが残念です。)

    一度酸洗いをして綺麗にしてから残りの爪も同じようにロウ付けします。

    こんな感じになりました。爪の余分な部分をニッパーでカットしておきます。(ギリギリまで切らずに1mm程度残しておきます)

    上段石枠のロウ付け

    上段を刻みに合わせてはめ込んでロウ付けします。刻みが爪にフィットするので、下段よりも難易度は低いです。

    5分か7分ロウを使います。

    底面のヤスリがけ

    底面をペーパーで8の字を描くように動かしながらヤスリがけをします。

    斜めに削れてしまっていないか時々確認しながら作業します。

    石留前に研磨する

    磨きたい場合はここである程度研磨しておきます。

    石留後に磨くと、細かな隙間が磨けなかったり、形を崩してしまったり、ルースによってはカット面が研磨剤でだれてしまう事もあります。

    マンドレールというリューター軸に、丸く切った牛乳パックを取り付けて、#4000くらいの研磨剤をつけて磨きました。

    ロウ付け部分も磨いておくと光沢が出て綺麗です。

    底面はバインダーに#4000の研磨剤を塗りつけて、ペーパーの作業の時と同じく8の字を描くように磨きます。

    磨き終わったらお湯と洗剤でよく洗います。

    オーバルカットの石留め

    基本の流れはラウンドカットの石留めと同じです。

    一部重複するため、ラウンドカットのページよりも完結の流れを説明します。

    爪を曲げる

    ルースを石枠に斜めにならないように乗せて、爪とガードルが接する位置に印をつけます。

    その印に精密ヤスリで刻みを入れておきます。

    爪を内側に折り曲げていきます。先ほどの刻みを入れた位置から曲がっていくはずです。

    折り曲げる順番は対角線状に行います。

    この時点ではそこまで強く曲げず、軽く石が動かなくなる程度でやめておきます。

    このようにハンドルに固定するとやりやすいです。このハンドルは100均の調理器具に固定材をつけて作っています。

    あまり強く曲げると石が割れる恐れがあります。

    正面から見るとこんな感じです。

    爪をカットする

    ルースのテーブル面の高さに合わせてニッパーでカットします。

    精密ヤスリで爪の形を整える

    精密ヤスリを使って、爪の形を作ります。

    丸い爪にしたい場合は丸く整えます。

    今回は雫型の爪にしますので、先を尖らせるように成形していきます。

    先端を曲げる

    まだ爪先が浮いているので、最後にルースに沿わせて曲げていきます。

    やすりを加工したものや、ピンセットの柄の部分などを使って、ルースに当たらないように爪を折り曲げていきます。

    再度磨いて完成です。

    ルースに合わせた石枠を作れると、夢が広がりますね!

    最後までご覧いただきありがとうございました。