ものづくりを生業にする人なら、必ず持っている計測機器であるノギス。
ステンレスなどの金属製で、0.01mm単位で、厚さ・深さ・内径を正確に計測できるツールです。
ノギスについて
ノギスは一風変わった定規のような見た目で、とても精密に作られています。
乱暴に扱ったり、嘴のようになっている部分を叩いたりすると使い物にならなくなります。
また、ステンレスなど錆びにくい金属でできていますが、もらい錆びや酸性のものに漬けっぱなしにしておくと錆が出て使えなくなってしまいます。
作品の寸法が正しく計測できないと綺麗なものを作ることが出来なくなってしまいます。特に大切に扱いましょう。
参考:自宅で金と天然ダイヤの指輪を作る手順(K18のロウ付け・ダイヤを割らずに留める方法)
目盛りの読み方
一番大きな嘴の部分で測ります。
上図の様に図りたいものを先の方でしっかりと挟みます。
0-10-20—と続くメインの目盛りの下に0-1-2-3-4—と小刻みな目盛りがふってあるかと思います。
小刻みな目盛りの0が指しているメインの目盛りが品物の寸法です。
次に半端な寸法の見方です。
メインの目盛りの2mmと半端な位置に、小刻みな目盛りの0の線が来ています。
ここで、小刻みな目盛りの方がメインの目盛りの線とぴったりになっているところを探します。
写真では7と8の間の7.5の線がぴったり合わさっています。
つまりこの品物の厚さは2.75mmとなります。
その他の使い方
厚さのほかにも深さや内径を計測できます。
内径・隙間の幅
内径や隙間の幅などを量りたいときは小さい方の嘴を使います。目盛りの読み方は先ほどと同様です。
上図の場合は内径4.2mmとなりますが、内径を測る際は重心を取れないと誤差が生じます。50円玉の穴の内径は4mmで、日本の硬貨は大変精密なので0.2mmは誤差の可能性が高いです。
深さ
溝や穴の深さも図ることが出来ます。
大きな嘴を広げると、底から棒が出てきます。この棒の長さと、嘴の開き具合が連動しています。
失敗しない買い方
名のあるメーカーのものを選ぶ
ノギスは精密さが命です。稀に嘴を閉じた状態で、0の目盛り同士の勘合があっていなかったり、作りが粗雑なものがあります。
特に小さいサイズのものに多いのですが、メーカー印が入っていないものは避けた方が良いです。
絶対間違いない一押しメーカーは、ミツトヨという100年くらい測定機器を作り続けている日本の老舗メーカーの「M形標準ノギスN」です。
視認性の高い文字やデザイン、仕上げ精度も高く仕事の相棒です。
標準ノギスでも、他社製品よりも2000円くらい高いですが(5000円前後です。)その価値はあります。
他には、中村製作所(KANON)などがあります。現在はミツトヨに比べあまり流通していませんが熟練の職人さんも使っているメーカーです。
素材は金属製(ハードステンレス)一択
プラスチック製は避けた方が良いです。プラスチックは作品に傷がつかないので良いですが、熱や弱い衝撃でゆがんだり伸縮する為役に立ちません。
とはいえ100円ショップでも簡易ノギスとして売っていますので、まぁ100円なら…と買ってみてもいいかもしれません。日常生活でそんなに正確に測らなくていいシーンでは割と便利そうです。(プラなので危なくないし。)と思って数か月前に買ってみたのですが、一回もいまだに使っておりません。
オススメサイズは150mm
サイズは300mmや100mmなど色々ありますが、150mmが一番便利です。
業種問わず今まで会った職人さんは150mmタイプを使っている方が多かったです。(旋盤工、溶接工、実家の近所の町工場のおじさん…etc)
熟練職人のおじさんが、ワークをノギスで測っている姿はかっこいいですね。
ミニノギス・マメノギスみたいなものもありますが、’05単位の視認性が悪く、デジタルノギスで測り直すと少し誤差が目立ちます。
また、小さいのでどうしてもパーツ精度が下がり、通常の大きさの精度に劣ります。
見た目がミニマムなので可愛くて取り回しも良く便利ですが、こだわりがなければ通常サイズが良いでしょう。
デジタルノギス
さらに正確に測る際はデジタル式のものもあります。
アナログノギスは0.05mm単位までしか計測できませんが、デジタルは0.01単位での計測が可能です。
えーっと…といちいち目盛りを読まなくても、でかでかと液晶に寸法が出るので、作業効率もUPします。
それならデジタルノギス一択でいいじゃないか!と思ったかもしれませんが、そうは問屋が卸しません。
使い物になるレベルのデジタルノギスは、2万円~くらいからです。(1万円ではチョットきびしい…)
アマゾンでも2000円くらいで売っていますが、安物買いの何とやらとなってしまいますので、デジタルを買うならJIS1級のものをチョイスしましょう。
ちなみに先ほどのミツトヨでももちろん最高級品を出しています。
信頼性はピカイチで、JIS規格、国際規格も取得していて、上位機種は防水防塵、ソーラー電池式、外部システムへの出力、エラー警告などハンドメイド使用ごときでは持て余す性能を持っています。(最上位機種のお値段は30000円以上します。)
電池式はここぞという時に電池切れになって激しく面倒なので、買うのであればソーラー式がおすすめです。ミツトヨだと、「ABSデジマチックキャリパ (ソーラタイプ)
CD-SC/SCT」がコスパがよくておすすめです。
2000円くらいのデジタルノギスを買うよりかは、アナログ式の良いものを買った方が損をしません。
手入れ方法
買った時についてくるノギスケースに入れるのがおすすめです。
また、スライド部分が硬くなってきたらミシン油をさしておくと良いでしょう。
ほとんどがステンレス製ですのでさびにくいのですが、もらい錆びをしてしまいます。(スライド内部のバネが真鍮製なので緑青が出る可能性があります。)乾燥した状態を保ってください。
付属のポーチにしまって、折れやすい箇所を保護しましょう。
デジタルノギスは使用後に空拭きして、付属のハードケースに収納します。
ジョーやクチバシ部分が変形すると数日落ち込むことになりますので、心しておいてください。
ノギスも消耗品
いいノギスでも数年使っていると、温度変化や摩耗で精度が落ちてきてしまいます。趣味でなら良いのですが、商売として使っていると色々と支障が出てくるかと思います。
新しく買い替える、という手もありますが、旭テクノという校正業者に出すと、国の定めたキビシイ基準に合わせて丁寧に誤差修正をしてくれます。(対応機種・対応範囲があります。)
アナログノギスであれば、新しく買い替えてしまっても良いかもしれませんが、高価なデジタルであれば定期的に校正に出すことで、機器の寿命を延ばすことが出来ます。
少々割高(倍くらい)ですが、校正業者から校正済ノギスも購入できます。ミツトヨがJIS1級の精度基準で作り検品したものを、さらに校正業者が厳しくチェックするというとんでもなく手間のかかったものとなります。ただ、ジュエリー製作では時計技師やF1マシンメカニックみたいな精密さは流石に必要ないので、持て余してしまうかもしれませんが周りに自慢できそうですね。
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