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【彫金用・鉄ヤスリ】形の種類・名称・番手・お手入れ方法

彫金をはじめ金属加工で必須となるのがヤスリです。
鉄ヤスリや棒ヤスリ、組ヤスリなどと呼ばれているこの道具は、洗濯板の表面のように加工した鋼材を焼き入れしたもので、金属を削るときに使用します。

様々な種類や目の粗さ、形がありますが、すべてに名称がついています。

このページでは、ジュエリー職人が信頼できるメーカーや、とりあえず買っておくべきものを詳しく説明しています。

このページでわかること

  • ヤスリの形の名称が分かる
  • 信頼性の高いメーカーが分かる
  • とりあえず買っておくべきヤスリが分かる

ヤスリについて

金属加工用として使うヤスリとして、棒ヤスリ(鉄ヤスリ)、スポンジペーパー、耐水ペーパーなどがあります。

木工用や模型用のサンドペーパーは金属加工には使いません。

主な用途としては金属を削り取るためのもので、ほとんどの場合は目が細かいものほど高価になります。

参考:自宅で金と天然ダイヤの指輪を作る手順(K18のロウ付け・ダイヤを割らずに留める方法)

鉄ヤスリの種類

色々な形状のものがあり、シチュエーション別で使い分けます。

ヤスリの目の種類

ヤスリにはいくつかの種類の目(ギザギザの部分)があります。

複目

一番広く使われている種類です。使いやすく、効率よく削ることが出来ます。

単目

斜線のように一方向からのみ刻みが入っています。
銅やアルミなどの軟らかく粘り気があり、道具にこびりつきやすい金属を削るときによく使われます。

アルミ用ヤスリなどはこのタイプが多いです。

上記の理由から複目に比べて手入れがしやすい構造になっています。

筋目

縦横に刻みがあり、おろし金のような突起があります。

ワックスを削るときに使われることがあります。

鬼目

とげとげの形状で、木材や大理石、ワックスの粗削りに使用できます。

木製道具の加工(ハンマーの柄など)に使用するため、筆者も1本持っています。

ちなみに100円ショップで「木工用鉄ヤスリ」という名称で売っています。(使いやすいです。)

ヤスリ目の粗さ・細かさの名称

ヤスリ目は荒目(アラメ)・中目(チュウメ)・細目(サイメ)・油目(アブラメ)の種類があり、油目が一番目が細かくなっています。

ヤスリの形状の種類

それぞれの形には固有名詞があります。

平(ヒラ)

平で四角いヤスリです。
一番スタンダードな形状のひとつです。
側面が1面だけヤスリ目が入っていないケースが多いです。

半丸(ハンマル)

断面がカマボコ状になっていて、彫金に使うものは先が尖っています。リングの内側をヤスる時に重宝しますので、とりあえず買っておいて間違いはありません。上下面にヤスリ目が刻んであります。甲丸とも言います。

角(カク)

断面が正方形のヤスリです。
先に向かって細くなっているものが多く、前面にヤスリ目がついています。

三角(サンカク)

断面が三角形のヤスリです。
先に向かって細くなっています。

先細(サキホソ)

平型が先に向かって細くなっているバージョンです。
平型に比べ狭い部分や細いところも削れる上、平型と同じ性能も持ち合わせています。

先細があれば平型は無くてもOKです。

丸(マル)

断面が丸形で、先に向かって細くなっています。
便利そうですが、、意外にも殆ど使いません。
精密ヤスリはこれが一番折れやすく、使用頻度も低いです。
無くても他の形で代用ができます。

鎬(シノギ)

断面が台形で、上面以外にヤスリ目が入っていて先細りになっています。
平ヤスリだと厚みがありすぎて入れない場所などで本領を発揮します。
あれば便利ですが、出番は少ないです。

腹丸(ハラマル)

鎬ヤスリの台形の底部分の面が半円まで行かないくらい微かに膨らんでいて、先細りになっています。ちょっとした凹面を削るのに非常に便利です。
丸型のヤスリよりも面を馴染ませやすく、特に厚みが薄い精密ヤスリをバラで買う際はお勧めの形状です。

刀刃(カタナバ)

峰部分はヤスリ目がついていない場合が多く、先細りです。
カッコいいので買ってしまいがちですが、精密ヤスリ以外の大きいヤスリを買う際は、鎬型か後述の笹型のどれかが有れば十分です。
精密ヤスリは石留めの際の爪を整えたりする時に、これは必須ですので買っておきましょう。

楕円(ダエン)

文字通り楕円になっている先細りのヤスリです。
歪(イビツ)とも呼ばれることがあります。

楕円の縦の円の部分で、丸型ヤスリの様に使うこともできますが、なくても不便は感じません。

両甲(リョウコウ)

断面がアーモンド型で、先細りです。
これはとても使いやすく、油目のものは非常に便利です。
シチュエーションとしては、リングの内側の面取りや、尖りすぎた角を良い感じに慣らしてくれる頼れる相棒です。

油目の高価なものを長年使い続ければヤスリ目が潰れて、ヤスリがけだけで光沢を出せるようになります。

蛤(はまぐり)

両甲の片面が腹丸ヤスリの膨らみくらいになっているヤスリです。
先細りになっています。
両甲の上位互換ですが、正直どちらでも変わりません。
どちらか持ちやすい方を買っておけば良いでしょう。

笹葉(ササバ)

断面が薄い三角形のやすりです。

先細りのタイプと、そうでないタイプがあります。
上面にはヤスリ目はなく、底面のみに入っています。
狭い隙間を整える際に役立ちます。

精密やすりのこの形はよく使います。

セット販売である「組ヤスリ」

5本組、8本組、10本組、12本組というセット販売がされていて、文字通りセットに含まれる本数をさしていますが、数が多いセットになるにつれて、細く小さくなっている決まりがあります。

もちろんセットで買う必要はなく、バラで買いそろえる方が主流です。後述する”これだけあれば大丈夫リスト”のものを買っておけばOKです。

上から、5本組、8本組、10本組、12本組のやすり。同じ形でも組の違いで大きさが異なる。

精密ヤスリ

細くて小さなヤスリで、アクセサリーやジュエリー製作には欠かせない道具です。

セットで買うと6000円以上しますが、正直使わない者も多く、スタメンは5本くらいです。

バラでも販売されていて1本500円くらいで買えるので、必要なものだけ買いそろえておけばよいでしょう。

インチやすり

取っ手をつけるタイプのやすりで、大型のものです。

ハンマーの柄を加工したり、すり板を削ったりと、工具を加工する際に使います。
これにも細目、荒目などがあり、細目・油目の半丸先細のインチヤスリはとても使いやすいので、金属加工にも重宝します。

ダイヤモンドやすり

ダイヤ粉が張り付いているヤスリで、100均でも販売されています。

100均で売っているもので十分です。

ドリル刃の調整や、焼きの入った鏨や道具の加工、ヤスリで加工すると目が潰れてしまうようなものを加工する際に使います。

おすすめのヤスリ種類

そんなにたくさん持っていても使わないので、少数精鋭でいいかと思います。

  • 大サイズの先細の荒目
  • 大サイズの先細の細目
  • 大サイズの半丸の細目
  • 精密ヤスリの笹葉先細
  • 精密ヤスリの刀刃
  • 精密ヤスリの腹丸
  • 中・小サイズの両甲か蛤

上記の計7本がおすすめです。上三本は800円~1000円前後、精密ヤスリは1本500円です。

最後の項目はできればあったら便利なもので、この手のヤスリは高価なので、様子を見てからでも良いかと思います。(3000円~5000円)

ヤスリの使い方

ヤスリは利き手で持って、左手で加工する品物を持ち、すり板を台にして削ります。

ヤスリを使うときの注意点

引くときは力を抜くこと

ヤスリは前方向に押したときに削れます。引くときは力を抜いて、意識してこすらないようにしましょう。
引くときに力が入るとヤスリの目が痛み、寿命を縮めます。

ヤスリは折れやすい

ヤスリは焼き入れ(鋼を赤熱→急冷させて最大まで硬度をあげる方法です。)されていて、刃物のように焼き戻し(焼き入れ後に若干火で炙ることで、鋼に粘り気を戻すことです。)もされていないので、硬さの代償として脆くなってしまっています。

衝撃や曲げの力に弱く、落としたりテコのように使うと簡単に折れたり割れてしまいます。

錆びやすい

鋼なので当然錆びます。手汗や、酸、水気ですぐに錆びてしまいます。

油を引くまではしなくても大丈夫ですが、濡れている状態で仕舞ったりはしないようにしましょう。

手入れの方法

ヤスリは、使っているうちに目が詰まってきます。

金などや真鍮などの粘り気の少ない金属なら手入れはたまにでも大丈夫ですが、銅やプラチナなどの粘っこい金属やプラスチック・パテ・木などは一瞬で詰まってしまいます。

縫い針などの細くて鋭利なもので、ヤスリ目の刻みの方向に向かってこするとボロボロと取れてきます。

真鍮ブラシや鉄ブラシでヤスリ目の方向を意識してこすったり、超音波洗浄をする方法もあります。

しかし、上記の方法でも細目や油目はきれいにならないことがあります。

その場合におすすめなのは、縫い針でガリガリやった後にガムテープをヤスリに貼ります。

爪でガムテープが密着するように擦って、一気にはがすと綺麗に取れることがあります。

ヤスリの寿命

ヤスリは消耗品です。

使い込むにつれて目が丸くなり、ヤスリが加工する金属に弾かれるようになります。
そうなってしまったら変え時ですが、油目や細目は目が詰まると程よい光沢を生み出すツールになることがあります。

左が使い込んで目が潰れたヤスリ、右がおろしたてのもの。

ほとんど削れないのですが、傷だらけの表面をこれでヤスると#1000くらいの表面にすることが出来ます。

また、使えなくなったヤスリはキサゲという道具や、刻印、鏨などとして再利用することが出来ますので、取っておくと良いでしょう。

まとめ

ヤスリはたくさんの種類がありますが、性能が被っているものも多いです。

しかし、これを削るにはこれがないとダメだ、というシチュエーションが極稀に起こるので、そういうときに備えてたくさん持っているという職人さんも多いかと思います。

「無くてもできるけど、あった方がきれいにできたり、効率よくできる」ために全種類用意している人もいます。

セットで買うと全く使わないものも出てくるので、作りたいものがあってそれを作る上でどうしても必要になったら買い足していくというスタンスがおすすめです。

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