研磨剤を使わずに金属を磨くこともできる伝統的な道具です。ヘラを使わなくても作品は作れますので、彫金を始めたての頃はあまり出番がないかもしれません。
しかしヘラは、よりクオリティの高いものを作っていく上でとても重要な道具です。
ヘラの選び方とおすすめ
ヘラには鋼鉄製と超硬製の物があります。鋼鉄製はヤスリなどと同じ素材で、超硬は鋼鉄より硬いタングステンカーバイトという素材でできています。
超硬ヘラの方が値段が高いのですが、物持ちもよく、よりピカピカに作品を仕上げる事ができます。

太さや形もさまざまですが、とりあえず1本目は丸型の2.0mmφくらいが使いやすいです。

超硬ではない普通のヘラです。
ヘラの持ち方
少し特殊な持ち方ですので、慣れるのに少し時間がかかるかもしれません。道具が当たって指が痛い場合は、ヘラにゴムチューブなどを取り付けておくと良いかと思います。
1.利き手でヘラの根元を人差し指と親指で摘む

2.薬指と小指に柄を挟む

3.そのまま握る

ヘラの使い方

先ほどの持ち方でヘラを握って、作品の表面を強い力でこするようにして使います。
ヘラはツルツルに磨かれていますので、そのツルツルが作品に転写されて作品もツルツルになる仕組みです。
ヘラを使うタイミングは、ペーパーがけ(ペーパーがけとは、リューターに取り付けたロールペーパーや耐水ペーパーなどで表面を整えることです)の後など、ある程度作品の傷を消した後の工程です。
折れやすいので注意

超硬ヘラは特に、とても硬い性質を持っています。そのため、落下の衝撃に大変弱いです。
取り扱いには注意してください。(根本からぽっきり折れてしまうことは結構あります。運よく長めに折れたら、ピンバイスに取り付けて使うこともできます。)
また、硬い金属でできている超硬ヘラですが、ダイヤモンドには負けてしまいます。
ダイヤモンドヤスリなどの工具に当たると傷がついてしまい、ヘラで作品を擦ってもピカピカにならなくなってしまいます。
こちらで超硬ヘラをピカピカに磨くことができます。リューターに取り付けて、低回転で使います。(新しいヘラが6本くらい買える値段ですので、このためだけに買う必要はありません。本来は彫留めのタガネを研ぐときに使う道具です。)

ヘラの選び方・使い方 まとめ
ということで今回はヘラについての解説でした。鋳造品(キャスト)を磨いていると小さな気泡(スと呼びます)が金属表面に出てきてしまう事があります。そういう場合はヘラで押し潰して磨くことで、綺麗に仕上げることもできます。
今回のポイント
- ヘラには超硬と鋼鉄製がある
- 強い力で擦り付けるようにして使う
- 超硬ヘラは折れやすいので注意