穴を開ける時にはピンバイスを使います。自宅で彫金をやるには必要不可欠な道具です。
金属に穴を開ける上で、知っておきたい注意点・正しい使い方を解説していきます。
ピンバイスの選び方とおすすめ


ANEX ピンバイス No.98 0.1~3.2mm No.98
彫金に最適な道具はこれ一択です。半額程度で中国製の安いものもありますが、精度が悪すぎて安物買いの銭失いになります。こちらは真鍮製で何十年も使用できる品質の定番品です。2本あると便利です。
ピンバイスの仕組みをおさらい

ピンバイスは先がネジになっていて、緩めると中からチャックという部品が出てきます。
(持ち手の方もネジになっていて、そこにももう一つチャックが入っています。)
ピンバイスに取り付けたいドリルの太さによってチャックを差し替えて使います。
よく使うチャックは2つ


よく使用するチャックのサイズは、一番細いものと一番太いものです。
彫金では直径1mm以下の小さな穴を開けることが多いので、細いドリル刃をホールドさせるために一番細いものを多用します。
一番太いものはスチールバーをホールドさせる時に使います。これもメレなどの小さな石を留める時によく使います。
細いドリル刃は5mmくらいの長さでセット

細いドリルはとても折れやすいです。無理に力を入れると簡単に折れてしまいますので、ピンバイスにセットする際は刃を出す長さを5mmくらいにしておきます。
長くドリル刃を出した状態で使っていると、ドリル刃が竹のようにしなって、ポキっと折れてしまいます。
スチールバーは普通にセット

スチールバーは画像のように普通にセットしてOKです。ネジをしっかり締めてスチールバーが動かないようにしておきましょう。
ピンバイスで穴を開ける手順
実際に板などに穴を開けてみましょう。彫金をやっていると、ピンバイスで穴を開ける機会がたくさんあります。
2mmを超える厚い板だと大変なので、まずは薄い板(1mm程度の厚み)に穴を開けて要領を掴んでみてください。
1.ドリルの刃の引っ掛かりを作る

ドリルで正確に穴を開けるためには、ドリルが食い込みやすいように『引っ掛かり』を作ってあげる必要があります。
カニコンパスなどの尖っている先の部分を使って、穴を開けたい位置にグリグリと印をつけておきます。
カニコンパスがない場合は、目打ちや金属串などでも代用可能です。100円ショップでも売っています。

この凹んだ印にドリル刃がハマるので、「刃が滑って全然違うところに穴を開けてしまう」失敗がなくなります。
穴を開ける時は必ず引っ掛かりの印を入れることを覚えておいてください。
2.ドリルの先を印に引っ掛ける

先ほどの印にドリルの刃先をフィットさせます。ドリル刃が引っ掛かって動かなくなればOKです。
3.垂直に構えて回転させる

垂直にピンバイスを構えて手で回していきます。ネジをドライバーで締めていくようなイメージに近いです。ただし、(押し付けすぎず)力を入れすぎないようにします。


これで穴が空きました。
スチールバーを使う時は回さない


ドリルで穴を開けた後に、ダイヤ型のNo.414スチールバーで削ると石座を作ることができます。
ドリル刃の時のように一周回して使うのではなく、擦るように右左に小刻みに回して削ります。(指先すりすりお金ちょうだいのジェスチャーみたいな感じです。)
ドリル刃が折れてしまったら
稀にドリル刃が折れて作品に埋まってしまった場合は、酸につけておくことでドリル刃のみを溶かす事ができます。
酸洗いに使うピックリングコンパウンドをお湯に溶かして瓶に入れ、作品を入れて一晩漬けておくと折れたドリル刃が溶けてなくなります。
ピンバイスの選び方・使い方 まとめ
ということでピンバイスについての解説でした。しっかりした国産メーカー品を買うことが重要です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回のポイント
- 日本メーカー品がおすすめ。2本あると便利。
- ドリル刃をセットするときは刃を短めに。
- 穴を開ける前には必ず印を入れる。
- 刃が折れて抜けなくなったら酸で溶かす。